
PubMedの資料に基づく | 過敏性腸症候群の人は卵を食べると症状が悪化するというのは本当ですか?
要点:
卵はFODMAPがほぼゼロで、IBSでは一般的に低リスクとされます。ただし個人差があり、脂肪の多い調理やパン・玉ねぎなど高FODMAPとの組み合わせで腹痛・下痢・膨満が出ることがあります。食事日記と段階的再導入でトリガーを見極め、アレルギー症状があれば受診を検討してください。
過敏性腸症候群(IBS)で卵が症状を悪化させるかは、人によって異なります。卵そのものはFODMAPがほぼゼロで、一般的にはIBSにとって“低リスク食材”とされていますが、一部の人では食後に腹痛・下痢・膨満などが出ることがあります。 [1] つまり、卵が一律に悪いわけではなく、個々の体質や食べ方、同時に食べるものの影響で差が出やすいと考えられます。 [2] [3]
卵が「基本的には安全」と言われる理由
- FODMAPが低い: 卵は糖質発酵を起こしにくく、ガスや膨満の原因になりにくい食品に分類されます。 [1]
- 一般的ガイドライン: IBSでは個人で症状を引き起こす食品を見つけて避ける方針が推奨され、万能の“避けるべき食材リスト”はありません。卵を必ず避けるべきという根拠は限られています。 [2] [4]
それでも卵で悪化する人がいるのはなぜ?
- 個人差の大きい「食物過敏」: IBSの多くの人が食後に症状が強まると感じ、特定の食品で悪化するケースが報告されています。ただし、免疫アレルギー(IgE)が主因であることは多くありません。 [5] [6]
- 食物アレルギー以外の反応: 一部研究では、特定食材で腸内のプロスタグランジンなど反応が高まる可能性が示唆されていますが、機序は統一見解に至っていません。 [7] [8]
- 検査マーカーの限界: 食品特異IgG/IgG4は食習慣の反映で、IBSの重症度や原因を示す確実な指標ではないと報告されています。 [9]
そのため、IgG検査だけで卵の「不耐」を断定するのは推奨されません。 [9]
実際の食事指導:卵はどう扱う?
- 再現性の確認が大切: 卵で悪化するかは、食事日記や計画的な再導入で個人ごとに評価するのが合理的です。一律の除去ではなく、問題食を“自分の体で確認して絞る”のが基本です。 [2] [3]
- 低FODMAPの観点: 卵単体(ゆで卵、ポーチドエッグ、スクランブル)なら低FODMAPですが、マヨネーズ・卵ソース・パン粉・揚げ衣など“混ぜ物”やニンニク・玉ねぎ・小麦・高脂肪と一緒だと、別要因で症状が悪化しやすくなります。 [1] [10]
例)卵サンド(小麦パン+マヨ+玉ねぎ)→卵よりもパンのフルクタン、玉ねぎ、脂肪が誘因になりやすい構図。 [10] [11] - 脂肪負荷に注意: 高脂肪の食事は腸の動きを刺激し、下痢優位のIBSで症状が出やすくなります。揚げ卵・バターたっぷり調理は避け、油を控えめにすると楽なことが多いです。 [3]
こんなときは卵を控える・見直す
- 明確な再現性がある: 卵単体(塩だけ、油少なめ)でも毎回腹痛・下痢・膨満が出る場合は、短期除去(2〜4週)→少量再導入で反応を検証しましょう。このプロセスで“卵そのもの”か“調理・同時摂取要因”かを切り分けられます。 [2]
- アレルギー症状を伴う: じんましん、口唇の腫れ、喘鳴などを伴う場合は、卵アレルギー(IgE)の評価を検討します。IBSと真の食物アレルギーは併存し得ます。 [6]
実践のコツ(症状を起こしにくい食べ方)😊
- シンプル調理: ゆで卵、ポーチドエッグ、油少なめのスクランブルなど、脂質を控えめに。 [3]
- 単体テスト: 卵だけで食べて反応をみる→問題なければ、次にパン・マヨなどを一つずつ足して要因を特定。1回量とタイミング(朝・夜)で反応が変わる人もいます。 [2]
- 食べ合わせを工夫: 玉ねぎ・にんにく(高FODMAP)や高脂肪ソースは避け、低FODMAPの主食(米、オート麦など)と組み合わせると穏やかです。 [1] [11]
- 量を分ける: 一度に多量ではなく、小分けで摂ると消化負担が減りやすいです。 [3] [2]
まとめ
- 卵は低FODMAPで、IBSの多くの人にとって“問題になりにくい食品”です。 [1]
- ただし、個人差は大きく、卵で悪化する人もいますが、脂肪や同時に食べる高FODMAP食材が真犯人のことがよくあります。 [3] [10] [11]
- ベストは、食事日記と段階的な再導入で「自分のトリガー」を見つけることです。必要に応じて栄養面のバランスを保つため、専門家と一緒に進めるのも良い方法です。 [2] [3]
卵とIBS:ポイント早見表
| 項目 | 卵単体 | 卵+高脂肪(揚げ物・濃厚ソース) | 卵+高FODMAP(玉ねぎ・にんにく・小麦パン) |
|---|---|---|---|
| FODMAP負荷 | 低い [1] | 低いが脂肪で症状誘発あり得る [3] | 高FODMAP食材が誘因になりやすい [11] [10] |
| 症状リスクの目安 | 低〜中 | 中(とくに下痢型で上昇) | 中〜高 |
| 実践アドバイス | 単体でテスト | 油を控える・量を減らす | 食べ合わせを変更・置き換え |
必要であれば、卵の食べ方を一緒に具体化して、1〜2週間の食事日記フォーマットもご用意できます。
関連する質問
出典
- 1.^abcdefLow FODMAP diet: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
- 2.^abcdefgIrritable bowel syndrome - Diagnosis and treatment(mayoclinic.org)
- 3.^abcdefgh과민성 대장증후군의 식사요법 Irritable bowel syndrome (IBS) | 건강정보(health.severance.healthcare)
- 4.^↑과민성 대장 증후군 [Irritable bowel syndrome] | 건강정보(health.severance.healthcare)
- 5.^↑기능성 위장관 질환에서의 음식 과민성과 음식 불내증의 진단(ekjm.org)
- 6.^abDietary proteins and functional gastrointestinal disorders.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 7.^↑Food intolerance: a major factor in the pathogenesis of irritable bowel syndrome.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 8.^↑Food intolerance.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 9.^abIgG and IgG4 antibodies in subjects with irritable bowel syndrome: a case control study in the general population.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 10.^abcdLow FODMAP diet: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
- 11.^abcdLow FODMAP diet: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


