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2026年2月18日5分で読める

PubMedの資料に基づく | 過敏性腸症候群はパンの摂取で症状が悪化するというのは本当ですか?

要点:

IBSではパンで症状が悪化する人がいますが、主因は小麦中のフルクタン(FODMAP)であり、グルテンとは限りません。まずは4〜6週間の低FODMAP食と段階的再導入で許容量を見極め、必要に応じてセリアック病を除外した上でグルテンの影響を評価します。個人差が大きいため、食事記録をつけつつ合う代替食品(米粉など)を選ぶと良いでしょう。

過敏性腸症候群(IBS)では、パン(小麦製品)で症状が悪化する人がいますが、全員に当てはまるわけではありません。ポイントは「小麦のどの成分に反応しているか(グルテンか、フルクタンなどのFODMAPか)」と「個人差」です。 [1] [2]


小麦・パンが影響する理由

  • 🥖 小麦に含まれるフルクタン(FODMAPの一種)

    • 小麦には「フルクタン」という発酵しやすい糖質が多く含まれ、腸でガスや水分を増やして腹痛・膨満・下痢などを引き起こしやすくなります。IBSではこのFODMAP感受性が高い人が多く、フルクタンが症状の主因になるケースが多いです。 [3] [4]
    • 実際、低FODMAP食(フルクタンなどを抑える食事)は複数の試験で症状軽減に有効性が示されています。特に腹部膨満や痛み、ガスの減少が確認されています。 [3] [4]
  • 🌾 グルテン(小麦・大麦・ライ麦に含まれるたんぱく質)

    • セリアック病でなくても、一部のIBSの人はグルテン制限で下痢や腹痛が改善することが報告されています。 [1]
    • 一方で、パンなどの小麦食品に含まれる複数成分(フルクタンなど)が症状の真犯人で、グルテン単独では腸症状を起こしにくいとする研究もあります。 [5] [6]
    • ただし、二重盲検試験でグルテン追加により腹痛・膨満・便の満足度の悪化が出た研究もあり、一部には「非セリアック性グルテン過敏(NCGS)」が存在する可能性があります。 [7] [8]
  • 🧠 個人差が大きい

    • IBSの食事誘発は25%前後の人でみられるとされますが、原因食品は人それぞれです。 [9]
    • 韓国や日本の臨床情報でも、同じ食品で全員が悪化するわけではなく、各自で合う・合わないを見つける対応が大切とされています。 [10]

パンが合わないと感じるときの考え方

  • ✅ まずは「FODMAP」から

    • パンが合わない場合、原因はグルテンよりもフルクタン(FODMAP)であることが多いため、低FODMAPの考え方で小麦・ライ麦・大麦由来のパン、パスタ、シリアルなどを一時的に減らす方法が現実的です。 [2] [11]
    • 低FODMAP食は「4〜6週間の除去 → 段階的再導入」で、自分の許容量を見極める二段階法が推奨されます。 [12] [13]
  • 🔍 次に「グルテン」への反応を評価

    • 低FODMAPで十分に改善しない、あるいはグルテン特異的に症状が出ると疑う場合は、セリアック病の除外を先に行った上で、短期間のグルテン制限を試すことがあります。 [14] [1]
    • なお、セリアック病(自己免疫性)や小麦アレルギーとは別物であり、検査や経過が異なります。 [15] [16]

具体的な食事の工夫

  • 🚫 避けたい(高FODMAPが多い)パン・穀類

    • 小麦・ライ麦・大麦由来のパン、パスタ、シリアル、クラッカー、焼き菓子などは初期フェーズでは控えるのが無難です。 [2]
  • ✅ 試しやすい代替(低FODMAP中心)

    • 米粉・コーン・オート麦・じゃがいも・キヌア由来のパンやパスタ、スペルト(少量なら許容の場合も)など、低FODMAPに準じた製品を選ぶ方法があります。 [11]
    • 低FODMAP対応のパンは製品により成分が異なるため、材料表示で「小麦・ライ麦・大麦のフルクタン由来」が少ないものを選びましょう。 [2]
  • 🍽 食べ方の工夫

    • 量と頻度を調整し、少量から再導入して許容量を探る。 [12]
    • 他の高FODMAP食品(玉ねぎ、ニンニク、蜂蜜、リンゴ、乳糖が多い乳製品、糖アルコール入り甘味料など)と同時に摂らないことで、相乗的な悪化を避けることもできます。 [2]

グルテン・小麦関連の鑑別ポイント

  • 🧪 セリアック病の可能性

    • 体重減少、鉄欠乏、慢性下痢、皮膚症状などがある場合はセリアック病の検査(抗体検査など)を考慮します。セリアック病は腸粘膜に炎症・傷害を起こす疾患で、グルテン完全除去が必須です。 [15]
  • 🌾 非セリアック性グルテン過敏(NCGS)

    • セリアック病・小麦アレルギーが否定されたうえで、グルテン除去で症状が改善するタイプです。明確なバイオマーカーがないため、食事負荷で評価します。 [16] [17] [18]
    • ただし、症状の主因がグルテンではなくフルクタンなどであることも多いため、低FODMAPのアプローチが先行します。 [5] [6]

研究からわかること(簡潔まとめ)

  • 低FODMAP食はIBSの痛み・膨満・ガスなどを有意に減らす一方、長期は個別化が必要です。 [3] [4]
  • グルテン除去で改善するIBSの人もいるが、原因はグルテンそのものとは限らないというエビデンスがあります。 [1] [5]
  • 一部の試験ではグルテン追加で症状悪化が再現されており、NCGSの存在可能性も示唆されています。 [7] [8]

実践ステップ(おすすめの流れ)

  1. 症状日記をつける

    • パンの種類(原材料)、量、同時に食べたもの、症状の出方を記録し、パターンを可視化します。
  2. 低FODMAPアプローチを4〜6週間

    • 小麦・ライ麦・大麦を中心に高FODMAPの除去を優先し、改善度を評価します。 [12] [2]
  3. 段階的再導入で許容量を確認

    • 量・種類(米粉パン→オート麦→限定的な小麦など)を一つずつ試し、何がどれくらいで症状に影響するかを把握します。 [12]
  4. 必要ならグルテン負荷の評価

    • セリアック病を先に除外したうえで、グルテン単独の影響を短期で確認する方法もあります。 [14] [15]
  5. 専門家と進める

    • 管理栄養士と一緒に栄養バランスを保ちながら進めると、安全かつ効果的です。 [13] [19]

よくある質問

  • Q: グルテンフリーにすれば必ず良くなりますか?
    A: 全員に効果があるわけではありません。 パンで悪化している場合でも、フルクタンが原因であることが多いため、まずは低FODMAPが合理的です。 [5] [2]

  • Q: 全粒粉パンや発酵種(サワードウ)なら大丈夫?
    A: 製法や原料でフルクタン量が変わる可能性はありますが、一般的な小麦ベースでは高FODMAPになりやすいため、個別に少量から試すのが安心です。 [2] [11]


まとめ

  • パンでIBS症状が悪化する人はいますが、原因の多くは小麦に含まれるフルクタン(FODMAP)で、グルテンそのものとは限りません。 [3] [5]
  • 低FODMAP食は有効性が高く、4〜6週間の除去と段階的再導入で自分の許容量を見極める方法が推奨されます。 [4] [12]
  • それでも不調が続く場合は、セリアック病の除外を行ったうえでグルテンの影響を評価し、管理栄養士と一緒に長く続けられる食事に調整していくと安心です。 [14] [13]

参考:高FODMAP・低FODMAPの例(抜粋)

カテゴリ高FODMAP(控える)低FODMAP(試してみる)
穀類・パン小麦・ライ麦・大麦のパン/パスタ/シリアル/焼き菓子米粉・コーン・オート麦・じゃがいも・キヌア由来のパン/パスタ、低FODMAP表記品
甘味はちみつ、高果糖コーンシロップ、アガベ、糖アルコール(ソルビトール/キシリトール等)砂糖(スクロース)、メープルシロップ、米飴
野菜玉ねぎ、にんにく、アーティチョーク などきゅうり、にんじん、トマト、ホウレン草 など
乳製品乳糖の多い牛乳・ヨーグルトラクトースフリー乳製品、固めのチーズ類

(上記の食材例は低FODMAP食の一般的なガイドに基づく抜粋です。製品差が大きいので表示を確認し、少量からお試しください。) [2] [11] [13]


😊 無理のない範囲で、パンの種類と量、同時に食べた食材を記録しながら、低FODMAPの枠組みで少しずつ調整してみませんか? [2] [12] [3] [4]

関連する質問

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出典

  1. 1.^abcdIrritable bowel syndrome - Diagnosis and treatment(mayoclinic.org)
  2. 2.^abcdefghijLow FODMAP diet: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
  3. 3.^abcdeA diet low in FODMAPs reduces symptoms of irritable bowel syndrome.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  4. 4.^abcdeA diet low in FODMAPs reduces symptoms of irritable bowel syndrome.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  5. 5.^abcdeOther Dietary Confounders: FODMAPS et al.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  6. 6.^abOther Dietary Confounders: FODMAPS et al.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  7. 7.^abGluten causes gastrointestinal symptoms in subjects without celiac disease: a double-blind randomized placebo-controlled trial.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  8. 8.^abGluten causes gastrointestinal symptoms in subjects without celiac disease: a double-blind randomized placebo-controlled trial.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  9. 9.^The role of diet in symptoms of irritable bowel syndrome in adults: a narrative review.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  10. 10.^과민성 대장 증후군 [Irritable bowel syndrome] | 건강정보(health.severance.healthcare)
  11. 11.^abcdLow FODMAP diet: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
  12. 12.^abcdefLow FODMAP Diet(stanfordhealthcare.org)
  13. 13.^abcdLow FODMAP diet: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
  14. 14.^abcThe role of lifestyle-related treatments for IBS(mayoclinic.org)
  15. 15.^abcEnfermedad celíaca(medlineplus.gov)
  16. 16.^abGluten Sensitivity(medlineplus.gov)
  17. 17.^Non-Celiac Gluten sensitivity: the new frontier of gluten related disorders.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  18. 18.^Non-celiac gluten sensitivity. Is it in the gluten or the grain?(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  19. 19.^Irritable bowel syndrome - Diagnosis and treatment(mayoclinic.org)

ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。