
PubMedの資料に基づく | 辛い食べ物を頻繁に摂ると心臓病の発症リスクが高まるというのは本当ですか?
辛い食べ物が心臓病リスクを直接高める明確な証拠は限定的です。カプサイシンには血管拡張・血圧低下の可能性がある一方、急激な大量摂取では一過性の血圧上昇が報告されています。塩分過多や高脂肪・高精製炭水化物など食習慣全体がリスクを左右するため、辛味は減塩と質の高い食事に賢く取り入れるのが有効です。
辛い食べ物そのものが心臓病リスクを直接高めるという明確な証拠は、現時点では限定的です。むしろ研究はまちまちで、摂り方や背景(塩分、体重、既往症など)によって影響が変わる可能性が示唆されています。カプサイシン(唐辛子の辛味成分)は血管拡張や血圧低下に関わる生理作用が報告される一方、急激な大量摂取で一過性の血圧上昇が起きうるという報告もあります。 [1] [2]
研究からわかること
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カプサイシンの生理作用
動物・機序研究や短期ヒト研究では、カプサイシンが血管の内皮機能を介して一酸化窒素(NO)産生を促し、血管を広げる方向に働く可能性が示されています。この作用は血圧低下につながりうると考えられています。 [1]
一方で、カプサイシンを非常に多量に摂った後に高血圧危機が起きた症例報告があり、個人差や摂取量により一過性の血圧上昇が生じる可能性も指摘されています。 [2] -
血圧への影響(臨床データ)
小規模の介入データでは、カプサイシンとイソフラボンの併用で高血圧者の血圧が低下した報告があります。正常血圧の人には明確な低下は見られず、高血圧者で低下が目立つという“選択的効果”の可能性が示唆されています。 [3] -
体重・肥満指標との関係(大規模コホート)
中国の大規模前向き研究では、辛い食べ物の摂取頻度や辛さの強さが上がるほどBMIや腹囲などの肥満指標が高い傾向が示されました。 これは「辛い食べ物そのもの」の効果というより、辛い料理が塩分や油分の多い調理や主食過多と組み合わさりやすい食習慣の“指標”になっている可能性があります。肥満や中心性肥満は心血管リスクの確立した要因なので、間接的に心臓病リスクを高めうる点には注意が必要です。 [4]
心臓病リスクを左右する“同伴要因”
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塩分(ナトリウム)
高血圧は心臓病の主要リスクで、塩分過多は高血圧を悪化させます。 辛味自体は塩分ではありませんが、辛さを和らげるための塩分多めのスープ、醤油・味噌・魚醤などの高ナトリウム調味料、加工食品と組み合わさると総ナトリウム量が増えます。 辛味ソースや香辛料に置き換えて塩分を減らす工夫は、血圧・心血管リスク低減に役立つ可能性があります。 [5] [6] [7] -
食パターン(総合的な質)
長期的には、野菜・果物・全粒穀物・魚・ナッツ・不飽和脂肪を中心とした“高品質”の食パターンが冠動脈疾患の抑制と関連します。一方、“高GI・高GL(血糖負荷)の食事”やトランス脂肪はリスク増と関連します。 辛い料理が高精製炭水化物や油分・塩分の高いメニューと組み合わさると、総合的な食事質が下がりリスクが上がる可能性があります。 [8] [9]
病態・薬剤との相互作用に注意
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高血圧・不整脈など既往がある方
からだの反応には個人差があり、非常に辛い料理や大量摂取で脈拍や血圧が一時的に上がる場合があります。既往症がある場合は、辛さを控えめにし、食後の血圧変動や動悸に留意するのが安全です。 [2] -
外用カプサイシン製剤(パッチ)
食事とは異なりますが、医療用高濃度カプサイシン外用剤では適用中に血圧が上がることがあり、血圧モニタリングが推奨されています。このことは“カプサイシンは状況によって血圧反応を起こしうる”生理作用を示唆します。 [10] [11] [12]
実生活でのまとめとコツ
- 辛味は“上手に使えば減塩の味方”になりえます。 醤油や塩を減らし、唐辛子・香草・スパイスで風味づけするのは血圧管理にプラスです。 [5] [6] [7]
- 量と組み合わせが肝心です。 高脂肪・高塩分・高精製炭水化物のメニューに辛味が加わるだけでは、総合的な心血管リスクは下がりません。野菜、豆、魚、全粒穀物、オリーブ油などを増やし、揚げ物や加工肉、砂糖飲料を控えることが重要です。 [8] [9]
- 既往症がある方は様子見で。 動悸・胸の違和感・血圧上昇などが出る辛さは避け、“中等度の辛さ”で満足できる工夫をしましょう。必要なら血圧家庭測定で反応を確認すると安心です。 [2]
よくある疑問への回答
- Q. 辛いものをやめれば心臓病予防になりますか?
A. 辛味そのものを完全に避ける必要は一般的にありません。 むしろ、辛味を活かして減塩し、食事の質を高めることが心血管リスク低減に役立ちます。 [5] [6] [7] - Q. カプサイシンは血圧を下げますか?
A. 可能性はありますが、個人差が大きく、用量や併用する食材で反応が変わります。 高血圧の方では低下が出ることも報告されていますが、急な大量摂取で逆に上がるケースもあります。 [3] [2] [1]
まとめ
- “辛い食べ物=心臓病リスク↑”と一概には言えません。 生理学的には有益な側面もありますが、大量摂取や高塩分・高脂肪の食習慣と組み合わさると、間接的にリスクが上がる可能性があります。 [1] [2] [4]
- 鍵は、減塩・高品質の食パターンに辛味を上手に取り入れることです。 これにより、血圧や心血管リスクの管理にプラスになると考えられます。 [5] [6] [8] [9]
実践チェックリスト ✅
- 辛味で味を立たせ、醤油や塩の量を減らす。目安は「いつもの半分」から。 [5] [6]
- 揚げ物より、蒸す・焼くなどの調理法にシフト。 [5]
- 主食は全粒穀物を増やし、砂糖飲料は控える。 [8] [9]
- 魚(特に脂ののった魚)・野菜・豆・ナッツを日常に。 [8]
- 高血圧や不整脈がある場合は、辛さを中等度に調整し、体調変化がないか観察。 [2]
参考エビデンス(要点)
関連する質問
出典
- 1.^abcdeA new way to lower blood pressure: pass the chili peppers please!(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 2.^abcdefghCapsaicin and arterial hypertensive crisis.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 3.^abcEffects of capsaicin and isoflavone on blood pressure and serum levels of insulin-like growth factor-I in normotensive and hypertensive volunteers with alopecia.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 4.^abcSpicy food consumption is associated with adiposity measures among half a million Chinese people: the China Kadoorie Biobank study.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 5.^abcdefgHeart Disease is Preventable(stanfordhealthcare.org)
- 6.^abcdefHeart Disease is Preventable(stanfordhealthcare.org)
- 7.^abcHeart Disease is Preventable(stanfordhealthcare.org)
- 8.^abcdefA systematic review of the evidence supporting a causal link between dietary factors and coronary heart disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 9.^abcdeAssociations of glycemic index and load with coronary heart disease events: a systematic review and meta-analysis of prospective cohorts.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 10.^↑Capsaicin (topical route) - Side effects & dosage(mayoclinic.org)
- 11.^↑Capsaicin (topical route) - Side effects & dosage(mayoclinic.org)
- 12.^↑Capsaicin (topical route) - Side effects & dosage(mayoclinic.org)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


