
PubMedの資料に基づく | 緑茶を毎日飲むと心臓病のリスクが下がるというのは本当ですか?
要点:
毎日の緑茶は心臓病(冠動脈疾患・脳卒中)リスクを下げる可能性があります。観察研究では摂取量が多いほどリスクが低く、1日1杯増えるごとに約10%低下という報告があります。一方、RCTでは脂質や血圧の改善は示されるものの、心血管イベントの減少を直接示す長期データは限定的で、無糖の緑茶を1日2~4杯程度が目安です。
毎日の緑茶習慣は、心臓病(冠動脈疾患・脳卒中など)リスクを下げる可能性があります。観察研究のメタ解析では、緑茶の摂取量が多い人ほど冠動脈疾患の発症リスクが低く、1日1杯増えるごとに約10%リスクが下がったと報告されています。 [1] 一方で、臨床試験で心血管イベントそのものの減少を直接示した長期データは限られており、脂質や血圧など「危険因子の改善」はみられるものの、確証度はまだ発展途上です。 [2] [3]
緑茶と心血管リスクのエビデンス
- 観察研究(人を長期間追跡する研究)では、緑茶摂取が多い集団ほど心臓病・脳卒中のリスクが低い傾向が報告されています。例として、緑茶の高頻度摂取群で冠動脈疾患リスクが有意に低いとするメタ解析があります。 [1] また、日本の大規模前向き研究では女性で緑茶摂取が多いほど冠疾患死亡が低い傾向が示されています。 [4]
- 無作為化試験(介入研究)では、緑茶や抽出物が総コレステロール・LDLコレステロール、血圧を有意に低下させる報告があり、リスク因子の改善という意味でプラスの効果が示唆されています。 [2] [3]
- 総合すると、「心血管疾患の危険因子を改善しうる」ことは比較的裏付けがあり、疾患の実際の発症・死亡の低下については有望だが今後の質の高い試験が必要という立ち位置です。 [2] [3] [1]
どのくらい飲むと良さそう?
- 観察研究のメタ解析では、1日1杯増えるごとに冠動脈疾患リスクが約10%低下という用量反応が示されました。 [1]
- 別の大規模前向き研究では、1日3~5杯以上の範囲で有益な関連がみられています。 [4]
- ただし、カップの大きさ・濃さ・抽出法でカテキン量は大きく変わるため、一般的には「無糖の緑茶を1日2~4杯程度」から無理なく続けることが勧めやすいです。観察研究の結果は因果を確定するものではない点も押さえておきましょう。 [1] [4]
作用のメカニズム(なぜ良い可能性があるのか)
- 緑茶に多いカテキン(とくにEGCG)は、抗酸化作用、血管内皮機能の改善、抗炎症、軽度の抗血小板作用、脂質代謝・血圧への改善など、心血管に有利な多面的作用が報告されています。 [5] [6] [7] [8]
- こうした作用の蓄積が、観察研究でみられる疾患リスク低下の関連につながっている可能性があります。 [5] [6] [7] [8]
緑茶と他のお茶の比較
- 総合的な前向き研究のレビューでは、お茶全体の摂取増加(3杯/日あたり)が冠疾患、脳卒中、心臓死、全死亡の低下と関連しました。 [9] [10]
- 一方、紅茶では冠疾患保護の一貫した関連は乏しく、緑茶での関連がより明確とする解析もあります。 [1]
- いずれも観察研究中心で、抽出液の種類・飲み方・食習慣の違いが影響しうる点に注意が必要です。 [9] [10]
安全性と注意点
- 通常の飲用量での緑茶は一般的に安全と考えられますが、カフェインによる不眠や動悸に敏感な方は、夕方以降の摂取を控えるなど調整しましょう。 [11]
- 高用量の抽出物(サプリ)では肝機能障害のリスク報告があり、特に800 mg/日のEGCG相当では肝酵素上昇が観察されています(飲料としての緑茶では通常そこまで到達しません)。 [12]
- 一部の薬との相互作用に注意が必要です。例として、β遮断薬ナドロールの血中濃度が緑茶で低下し不整脈が再燃した例が報告されています(特殊な状況ですが、心臓病治療薬を内服中の方は主治医に相談を)。 [13]
まとめ
- 「毎日緑茶を飲むと心臓病リスクが下がる可能性はある」といえますが、これは主に観察研究の関連に基づき、直接の因果を証明する決定的な臨床試験はまだ不足しています。 [1] [2] [3]
- それでも、脂質や血圧などの危険因子を改善しうるエビデンスはあり、無糖の緑茶を日々の生活に取り入れることは心血管ケアの一助になり得ます。 [2] [3]
- 実践としては、無糖の緑茶を1日2~4杯程度から、カフェイン耐性や体調に合わせて調整するのがおすすめです。 [1] [4]
よくある質問
Q. 緑茶はいつ飲むのが良い?
- 食後に飲むと胃への刺激が穏やかで、カフェインによる睡眠への影響を避けるなら午後遅い時間は控えるのがおすすめです。 [11]
Q. ペットボトルのお茶でも良い?
Q. サプリ(抽出物)はどう?
- サプリは有効成分が濃縮されている一方で、肝機能への影響など安全性の懸念が相対的に高くなるため、既往症や併用薬がある方は医療者に相談のうえで慎重に。 [12]
主要データの整理
| テーマ | 主な結果 | 解釈のポイント |
|---|---|---|
| 観察研究メタ解析(冠動脈疾患) | 緑茶高摂取でCADリスク低下、1杯/日増で約10%低下 | 因果の確定はできないが用量反応が示唆される [1] |
| 前向きコホート(日本) | 女性で緑茶多量摂取ほど冠疾患死亡が低い傾向 | 性差・飲み方の違いに影響の可能性 [4] |
| RCTレビュー(一次予防) | 緑茶で総コレステロール・LDL・血圧の低下 | 介入数が少なくイベント減少は未検証、さらなる試験が必要 [2] [3] |
| お茶全般のメタ解析 | 3杯/日増で冠疾患・脳卒中・心臓死・全死亡の低下と関連 | 種類・文化差・交絡の影響に注意 [9] [10] |
| 安全性 | 通常飲用は概ね安全、サプリ高用量で肝酵素上昇報告 | 薬物相互作用の可能性に留意(例:ナドロール) [12] [13] |
関連する質問
出典
- 1.^abcdefghiBlack and green tea consumption and the risk of coronary artery disease: a meta-analysis.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 2.^abcdefgGreen and black tea for the primary prevention of cardiovascular disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 3.^abcdefgGreen and black tea for the primary prevention of cardiovascular disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 4.^abcdeCoffee, green tea, black tea and oolong tea consumption and risk of mortality from cardiovascular disease in Japanese men and women.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 5.^abcCardiovascular effects of green tea catechins: progress and promise.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 6.^abcCardiovascular effects of green tea catechins: progress and promise.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 7.^abcCardiovascular effects of green tea catechins: progress and promise.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 8.^abcCardiovascular effects of green tea catechins: progress and promise.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 9.^abcTea consumption and risk of cardiovascular outcomes and total mortality: a systematic review and meta-analysis of prospective observational studies.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 10.^abcTea consumption and risk of cardiovascular outcomes and total mortality: a systematic review and meta-analysis of prospective observational studies.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 11.^abGreen Tea(mskcc.org)
- 12.^abcGreen Tea(mskcc.org)
- 13.^abGreen Tea(mskcc.org)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


