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2026年2月17日5分で読める

PubMedの資料に基づく | 慢性腎臓病の人は魚をよく食べると腎機能の低下が遅くなるというのは本当ですか?

要点:

慢性腎臓病では、魚(特にオメガ3豊富な青魚)の摂取が尿たんぱくや炎症・血圧の改善を通じて腎ダメージ進行を緩やかにする可能性があります。ただしGFR低下を一貫して止める明確な効果は乏しく個人差があるため、塩分・たんぱく質・カリウム・リンの管理とあわせて、医療者と相談しながら取り入れることが重要です。

慢性腎臓病(CKD)の方が「魚をよく食べると腎機能の低下が遅くなるのか」という点については、いくつかの研究で前向きなサインはありますが、効果は限定的で個人差もあり、「必ず腎機能低下が遅くなる」とまでは言い切れません。特に魚油由来のオメガ3脂肪酸(EPA・DHA)は、尿たんぱく(腎臓のダメージの指標)をわずかに減らす可能性があり、血圧や炎症の改善を通じて腎保護に寄与する人がいる一方、GFR(腎機能)の低下そのものを一貫して止める効果は明確ではない、と示されています。 [1] [2]

なぜ魚(オメガ3)が注目されるのか

  • オメガ3脂肪酸には、炎症を抑える作用や中性脂肪を下げる作用、血管機能の改善などが知られています。これらは腎臓の糸球体の炎症・血管負荷を和らげ、間接的に腎ダメージの進行を遅らせる可能性があります。 [2]
  • CKDの食事指導でも、過剰な塩分やタンパク質を控えることと並んで、オメガ3の摂取を増やすことが一案として紹介されることがあります。これは血圧や炎症のコントロールが重要だからです。 [2]

エビデンスのポイント

  • 臨床試験をまとめた系統的レビューでは、オメガ3補給で尿たんぱくが平均で小さく減少し(標準効果量−0.19)、腎臓のダメージ指標の改善が示唆されました。しかし、GFRの低下スピードを有意に止めるほどの効果は確認されませんでした。 研究規模が小さい・対象疾患が様々・評価方法が異なるなどの限界もあります。 [1]
  • 一部の臨床データでは、オメガ3補充後に腎血流や糸球体ろ過の改善が観察された報告もありますが、長期的な進行抑制効果は更なる検証が必要とされています。 [3]
  • 実地の栄養指導面では、魚油(オメガ3)が糸球体の炎症を抑え、血圧を下げることで腎ダメージの進行を遅らせる可能性が触れられていますが、「一部の人で有益」という慎重な表現が用いられます。 [2]

魚を食べることの全身的メリットと注意点

  • CKDでは心血管病リスクが高く、オメガ3は炎症や脂質異常の改善など心血管面での利点が期待できます(一般集団では心血管死の低減に示唆もありますが、効果は一貫せず過大評価は禁物です)。 [4]
  • ただし、魚=無条件に良いとは限りません。CKDのステージや血中リン・カリウム値によっては、リンやカリウムの摂取管理、タンパク質量の調整が必要です。塩分を多く含む加工魚・干物・練り製品は血圧悪化につながるため控えめが望ましいです。 [2]

実践のコツ(一般的な目安)

  • 頻度・種類: サーモン、サバ、イワシ、サンマなどの脂の多い魚はオメガ3が豊富です。塩分が少ない調理(焼く・蒸す・煮る)を基本にし、味付けは薄めにしましょう。 [2]
  • 量の考え方: CKDステージや体格・検査値により適量は異なります。非透析期ではタンパク質のとり過ぎに注意しつつ、週に数回の魚料理を“塩分控えめ”で取り入れる方法が一般的に試みられます。 [2]
  • サプリの位置づけ: 魚油サプリ(EPA・DHA)は、尿たんぱくや血圧の改善を通じて進行を遅らせる可能性が一部で示唆されていますが、全員に明確なGFR保護が出ているわけではなく、胃腸症状などの副作用もあり得るため、医療者と相談のうえ処方(医療用製剤)を検討するのが安全です。 [2] [1]
  • 食事全体の柱: 塩分制限で血圧管理、適正タンパク質、必要に応じてカリウム・リンの管理が腎保護の要です。オメガ3はその補助的選択肢と考えるとバランスが取れます。 [2]

まとめ

  • 魚(特にオメガ3脂肪酸が豊富な魚)の摂取や魚油は、尿たんぱくの軽減や血圧・炎症の改善を通じて、腎ダメージ進行を“緩やかにする可能性”があると考えられています。 [1] [2]
  • 一方で、腎機能(GFR)低下そのものをはっきり止める効果は今のところ一貫して証明されていません。効果の大きさは人により異なり、食事全体の管理と組み合わせることが大切です。 [1]
  • 塩分の少ない魚料理を週に数回程度取り入れることは、多くのCKDの方で有益に働く可能性がありますが、ステージや血液検査(リン・カリウム)、合併症に応じて個別調整が必要です。担当の医療者や管理栄養士に相談しながら、自分に合った魚の種類・量・調理法を決めていきましょう。 [2]

参考になるポイント早見表

テーマ示唆される効果・注意補足
オメガ3(魚/魚油)炎症・血圧・尿たんぱくの改善が見込め、進行遅延に“つながる可能性”GFR保護の明確な効果は不一致。個人差あり。 [1] [2]
魚の種類サーモン・サバ・イワシ・サンマなどの青魚がEPA/DHA豊富塩分の多い加工品は避け、薄味調理を。 [2]
サプリ尿たんぱく軽減の一助になる可能性胃腸症状など副作用も。医療者と相談を。 [1] [2]
食事全体塩分制限、適正タンパク、カリウム・リン調整個別化が重要。 [2]

ユーザーの今の腎機能の段階や血液検査の値に合わせて、どのくらいの頻度と量の魚がちょうど良さそうか一緒に考えてみましょうか?

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出典

  1. 1.^abcdefgThe effect of n-3 long-chain polyunsaturated fatty acid supplementation on urine protein excretion and kidney function: meta-analysis of clinical trials.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  2. 2.^abcdefghijklmnoEating right for chronic kidney disease(mayoclinic.org)
  3. 3.^Effects of protein intake variation and omega-3 polyunsaturated fatty acids on renal function in chronic renal disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  4. 4.^Omega 3 Fatty acids and cardiovascular outcomes: systematic review and meta-analysis.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)

ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。