
PubMedの資料に基づく | 慢性腎臓病の人は、運動すると腎機能が悪化するというのは本当ですか?
慢性腎臓病(CKD)では、適切な強度と方法で行う運動は腎機能を悪化させるという根拠は乏しく、むしろ体力・心血管機能・QOLの改善が期待できます。中等度の有酸素運動を週150分程度、軽〜中等度の筋力トレーニングを併用し、体調に合わせて漸増するのが推奨です。安全のため主治医と相談し、水分管理や症状チェックを行いながら継続しましょう。
慢性腎臓病(CKD)の方が運動すると腎機能が悪化する、というのは一般的には当てはまりません。むしろ、適切な強度と方法で行う運動は安全で、体力・心血管機能・生活の質の改善に役立つ可能性が高いと考えられています。いくつかの臨床研究や総説では、運動により腎機能(eGFR)が悪化したという報告はなく、体力や血圧、炎症マーカーなどの改善が示唆されています。 [1] 運動介入を系統的にまとめた解析でも、有酸素能力や歩行能力、筋機能、心血管機能、健康関連QOLが改善する傾向が示されています。 [2]
なぜ運動が推奨されるのか
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🫀 心血管リスクの低減の可能性
CKDの方は心血管病のリスクが高く、適度な運動は血圧や炎症、酸化ストレスの改善に寄与する可能性があります。 [1] これは長期の腎保護にも間接的に良い影響を与える可能性があります。 [2] -
🏃 体力・筋力・活動耐容能の向上
有酸素能力(最大酸素摂取)や歩行能力、筋機能が改善し、日常生活の動作が楽になります。 [2] -
🙂 気分・生活の質の向上
継続的な運動は、生活の質(QOL)や気分の改善に役立つことが示唆されています。 [2] -
🧍 座りがちな生活のリスク回避
観察研究では、軽強度を含む“動く時間”が多いほど腎機能が良好という関連が報告されています。 [3]
腎機能は悪化しないのか:エビデンスの要点
- 小規模試験や非無作為化試験を含む総説では、運動により腎機能の悪化が生じた報告はないとまとめられています。 [1]
- RCTを中心とした系統的レビューでは、腎機能そのものに対する長期的影響はまだ明確ではないものの、安全性と機能改善のエビデンスは概ね良好です。 [2]
- したがって、適切な強度で段階的に始める限り、運動のリスクより不活動のリスクの方が高いと考えられます。 [1]
どのくらい・どんな運動がよいか
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🕒 運動量の目安
中等度の有酸素運動(速歩・サイクリング・軽い球技・家事など)を週合計150分以上(1回30~50分、週5日程度)が一つの目安です。 [4] 同様の指針は他の公的情報でも示され、軽〜中等度の活動を日常的に続けることが推奨されています。 [5] -
🧱 種類の組み合わせ
有酸素運動を基本に、軽〜中等度のレジスタンス(筋力)トレーニングを加えると、体力改善効果が高まる可能性があります。 [6] 長期間の継続と、透析中ではなく透析外の実施(透析者の場合)で効果が大きいという示唆もあります。 [6] -
🧭 強度の調整
“ややきつい”と感じる程度(会話はできるが歌は歌いにくい)から始め、体調に合わせて少しずつ負荷や時間を増やしましょう。安全面からも、中等度で開始し漸増が基本です。 [1]
安全に続けるためのポイント
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🩺 主治医と相談
心疾患、重度の高血圧、重度の貧血、電解質異常(高カリウム血症など)がある場合は、運動内容の調整が必要です。疲れやすさが強い進行期CKDでは、短時間・低強度から始めるのが無難です。 [5] -
💧 脱水の回避
脱水は腎血流を低下させるため、運動前後の水分補給を意識しましょう(医師から厳密な水分制限がある場合はその範囲内で)。 -
💊 薬・サプリに注意
NSAIDs(痛み止め)など腎に負担のある薬剤の自己使用は避ける、サプリの過量摂取に注意する、といった基本も重要です。 [4] -
⚠️ 中止の目安
胸痛、強い息切れ、めまい、むくみの急な増悪、体重の急増、筋けいれんや強いこむら返りなどが出たら中止して相談しましょう。
おすすめの運動メニュー例
- 週5日、速歩20~30分+自重筋トレ10~15分(椅子スクワット、壁押し腕立て、チューブロウなど)
- 関節負担が気になる場合は、屋内バイク、エリプティカル、プールウォーキングも◎
- 1回10分×3回の分割でも合計時間が満たせればOKです。 [4]
よくある誤解への回答
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「運動で腎臓が疲れて悪くなる?」
→適切な中等度の運動で腎機能が悪化した報告は乏しく、安全性は概ね良好です。 [1] むしろ、不活動のほうがリスクとされています。 [1] -
「強い筋トレはダメ?」
→高強度は個人差が大きく、まずは中等度で開始し、反応を見ながら専門職と計画的に強度を上げるのが安心です。筋トレを適切に取り入れると体力面の利益が増える可能性があります。 [6] [2] -
「どのステージでも同じ?」
→軽~中等度CKDでは一般の方と同程度に活動できることが多い一方、後期では疲れやすさに配慮し短時間・低強度からが基本です。 [5]
まとめ
- CKDの方が適切な運動を行っても、腎機能が悪化するというエビデンスは乏しく、むしろ体力・心血管機能・QOLの改善が期待できます。 [1] [2]
- 週150分程度の中等度有酸素運動を軸に、軽~中等度の筋力トレーニングを併用し、体調に応じて漸増するのがおすすめです。 [4] [6]
- 主治医と相談しながら安全策(水分管理、薬剤・症状のチェック)を守り、できる範囲で“座りすぎを減らし、こまめに動く”ことが鍵です。 [5] [3]
参考エビデンス(要点)
関連する質問
出典
- 1.^abcdefghiExercise in individuals with CKD.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 2.^abcdefghExercise training in adults with CKD: a systematic review and meta-analysis.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 3.^abcAssociation between physical activity and kidney function: National Health and Nutrition Examination Survey.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 4.^abcde영남대학교(yumc.ac.kr)
- 5.^abcdeLiving with Chronic Kidney Disease(cdc.gov)
- 6.^abcdeExercise training improves cardiovascular fitness in people receiving haemodialysis for chronic renal disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


