無料で始める
Medical illustration for 乳がんと授乳は両立できる?安全性と注意点 - Persly Health Information
Persly 医療専門チームPersly 医療専門チーム
2026年1月26日5分で読める

乳がんと授乳は両立できる?安全性と注意点

要点:

乳がんと授乳の安全性と注意点

乳がんの方が授乳できるかどうかは、現在受けている治療(手術・放射線・抗がん剤・ホルモン療法・分子標的薬など)と治療段階によって異なります。一般的には、抗がん剤や多くの抗腫瘍薬使用中は授乳は推奨されず、手術や放射線のみで治療が終了している場合は条件付きで授乳が可能になることがあります。 [1] [PM19]


手術後の授乳の可否

  • 片側乳房切除(片側の乳房を摘出)の場合、反対側の健側乳房から授乳は可能になることがあります。ただし、赤ちゃんの体重増加をこまめに確認するなどのフォローが必要です。 [2] [3]
  • 部分切除(乳房温存術)+放射線を受けた側は、乳汁分泌が大きく低下することが一般的です。多くの方で治療側から十分な量の授乳は難しく、健側中心の授乳が現実的です。 [3] [4]
  • 両側の手術歴や切開位置・神経損傷の程度によって分泌量は個人差が大きいため、産後は授乳支援を受けながら赤ちゃんの体重を厳密にモニタリングすることが勧められます。 [5] [2]

放射線治療と授乳

  • 治療を受けた乳房は乳腺組織と導管の損傷により分泌低下が生じやすく、同側で十分な授乳が難しいことが一般的です。健側での授乳に切り替える選択が現実的です。 [3] [4]

抗がん剤(化学療法)と授乳

  • 抗がん剤治療中の授乳は基本的に推奨されません。多くの抗がん剤はミルクへ移行し、乳児に重篤な有害影響の可能性があるため、投与中は断乳(少なくとも一時中止)が一般的推奨です。 [1] [PM19]
  • 例:パクリタキセル(タキサン系)はヒト乳汁への移行が想定され、投与中は授乳中止が推奨されます。 [6]
  • 例:トポテカンなども投与中および一定期間は授乳不可の指示があり、投与終了後も1週間以上の待機が求められることがあります。 [7]
  • 例:ダクチノマイシンは投与中および投与完了後14日間の授乳回避が推奨されています。 [8]
  • 白金製剤(例:オキサリプラチン)は投与数週後でも乳汁中にプラチナ残存が認められ、より長期の授乳回避が必要となる場合があります。 [PM18]

ホルモン療法と授乳

  • タモキシフェンなどのホルモン療法中は、乳児へのリスクの可能性が示されており、授乳は一般的に推奨されません。治療薬ごとの製品情報・推奨期間に従って授乳再開時期を担当医と相談してください。 [9] [10]

分子標的薬・免疫療法と授乳

  • 多くの分子標的薬や免疫療法薬では乳汁移行や乳児影響に不確実性があり、投与中の授乳中止が推奨されることが一般的です。薬剤ごとの待機期間(薬の体からの抜け方)を確認し、個別に判断します。 [11]
  • 一部のモノクローナル抗体は分子量が大きく乳汁移行は少ない傾向が示されることもありますが、がん治療薬では慎重な回避が優先されます。 [12] [PM21]

画像検査と授乳

  • 妊娠・授乳期の乳房画像検査は症状があれば遅らせずに行うことが推奨され、授乳中の撮像は通常の女性とほぼ同様に実施されます。必要に応じて検査前の搾乳などで画質改善を図ります。 [PM13]

安全に進めるための実践ポイント

  • 治療内容を一覧化:現在・過去の治療(手術側、放射線の有無、薬剤名と最終投与日)を整理し、薬剤ごとの授乳再開可能時期(待機期間)を医療者と確認しましょう。 [1] [9]
  • 健側中心の授乳:治療側(放射線・部分切除側)は分泌低下が予想されるため、健側での母乳供給を軸にし、赤ちゃんの体重増加を綿密にフォローします。 [3] [2]
  • 補助栄養の活用:必要に応じてドナー母乳や人工乳の併用を検討します。過不足のない栄養が最優先です。 [2]
  • 搾乳と乳腺ケア:乳腺炎予防のため、治療側でも無理のない範囲で軽い搾乳やケアを行い、詰まりを避けます(ただし薬剤投与中は乳汁の廃棄が必要な場合あり)。医療者の指示に従ってください。 [5] [1]
  • 薬剤待機期間の確認:抗がん剤やホルモン薬は薬剤ごとに授乳再開までの待機期間が異なるため、製品情報と主治医の指示に従いましょう。 [7] [8] [6]
  • 心理的支援:乳がん治療後の授乳には心理的・社会的な負担が伴うことがあり、支援が必要になる場合があります。家族や医療チームに相談し、支援体制を整えましょう。 [13]

代表的治療と授乳の目安(例)

下表は理解を助けるための一般的な傾向をまとめたもので、最終判断は個々の治療計画・薬剤情報・主治医の指示に従ってください。

治療/状況授乳の可否(目安)補足・注意点
片側乳房切除(健側あり)健側から可能な場合あり体重増加の厳密フォロー、分泌量に個人差あり [2] [3]
部分切除+放射線(同側)同側から十分な授乳は困難になりやすい健側中心、分泌低下が一般的 [3] [4]
抗がん剤投与中原則不可乳汁移行・乳児有害事象の懸念、薬剤ごとに待機期間あり [1] [6] [7] [8] [PM18]
ホルモン療法中(例:タモキシフェン)原則不可乳児リスクの可能性、再開時期は主治医と確認 [9] [10]
分子標的薬/免疫療法中原則不可安全性不確実、薬剤別に要確認 [11] [12]
画像診断(授乳中)症状があれば実施妊娠・授乳期でも評価は推奨、必要時に搾乳で画質改善 [PM13]

よくある誤解への補足

  • 「治療が終わったらすぐに授乳再開できる」わけではありません。薬剤によっては終了後もしばらく乳汁への残存や乳児影響の懸念が続くため、待機期間の確認が必須です。 [7] [8] [PM18]
  • 「片側の乳房だけでは赤ちゃんに十分な量を与えられない」わけではありません。健側1乳房でも赤ちゃんの成長に十分な量を産生できる可能性がありますが、体重の追跡が重要です。 [2] [3]

まとめ

  • 手術のみ・放射線後で薬物療法がない場合は、健側中心に授乳できる可能性があります。赤ちゃんの体重増加の継続的な確認が鍵です。 [2] [3]
  • 抗がん剤・多くのがん治療薬投与中は授乳を避けるのが一般的で、薬剤ごとの待機期間を守って再開を検討します。 [1] [6] [7] [8] [PM18]
  • 不安や迷いがあるときは、主治医・助産師・授乳支援チームと連携し、安全で現実的な授乳プランを作りましょう。 [13] [5]

個別相談のヒント

  • 現在・過去の治療内容(手術側、放射線、薬剤名、最終投与日)を書き出して、薬剤別の授乳再開時期を主治医に確認しましょう。 [1] [9]
  • 健側の授乳+必要に応じた補助栄養で、赤ちゃんの栄養と安全を最優先に進めましょう。 [2] [3]

関連する質問

関連記事

出典

  1. 1.^abcdefgAppendix I(cdc.gov)
  2. 2.^abcdefghBreast Surgery and Breastfeeding(cdc.gov)
  3. 3.^abcdefghiBreast Surgery and Breastfeeding(cdc.gov)
  4. 4.^abcPregnancy After Treatment for Early Stage Breast Cancer(mskcc.org)
  5. 5.^abcBreast Surgery and Breastfeeding(cdc.gov)
  6. 6.^abcdPaclitaxel(dailymed.nlm.nih.gov)
  7. 7.^abcdeHYCAMTIN- topotecan hydrochloride injection, powder, lyophilized, for solution(dailymed.nlm.nih.gov)
  8. 8.^abcdeDACTINOMYCIN injection, powder, lyophilized, for solution(dailymed.nlm.nih.gov)
  9. 9.^abcd32-Breast adjuvant tamoxifen | eviQ(eviq.org.au)
  10. 10.^ab32-Breast adjuvant tamoxifen | eviQ(eviq.org.au)
  11. 11.^ab36-Breast metastatic capecitabine and laPAtinib(eviq.org.au)
  12. 12.^abClinical Guidelines for Diagnosis and Treatment of Botulism, 2021(cdc.gov)
  13. 13.^abBreast Surgery and Breastfeeding(cdc.gov)

ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。