Medical illustration for PubMedの資料に基づく | 運動は喘息を悪化させるので避けるべき、というのは本当ですか? - Persly Health Information
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2026年2月17日5分で読める

PubMedの資料に基づく | 運動は喘息を悪化させるので避けるべき、というのは本当ですか?

要点:

運動は喘息を悪化させるものではなく、適切にコントロールされていれば多くの人が安全に運動できます。運動誘発性気管支収縮(EIB)がある場合も、ウォームアップや環境調整、運動前のSABA吸入、必要に応じた長期管理薬で予防・改善が可能です。

運動は多くの人にとって喘息を「悪化させるもの」ではなく、むしろ健康づくりに役立つ活動です。適切にコントロールされた喘息なら、ほとんどの方が症状なく安全に運動できます。一方で、運動中や直後にのみ気道が狭くなる「運動誘発性気管支収縮(EIB)」があり、これは対策でほとんど予防できます。 [1] [2]


運動と喘息の関係

  • 運動そのものが喘息を「発症させる」わけではありません。「運動で症状が出る人がいる」ので、以前は“運動誘発性喘息”と呼ばれていましたが、現在は“運動誘発性気管支収縮(EIB)”と表現します。このほうが、運動が原因で喘息になるという誤解を避けられます。 [3]
  • 喘息がよく管理されていれば、運動は推奨されます。体力や肺機能の向上、気分や生活の質の改善など、運動のメリットは大きいからです。 [1]

運動のメリット(喘息があっても)

  • 有酸素運動の取り組みは、生活の質(QOL)や不安・抑うつの改善、症状の少ない日数の増加と結びつくことが示されています。 [4]
  • 定期的な運動プログラムは、成人の喘息コントロール(ACQ)とQOLを有意に改善し、その効果は自己管理期にも維持されました。 [5]

運動で症状が出るのはなぜ?

運動時は呼吸量が増え、冷たく乾いた空気を短時間に大量に吸い込むと、気道が刺激され一過性に狭くなることがあります(EIB)。この反応は特に持久系の運動(長距離走、サイクリングなど)や寒冷・乾燥環境で起こりやすいです。 [6] [7]


安全に運動するためのポイント

  • ウォームアップを十分に:段階的に強度を上げるとEIBのリスクが下がります。 [6]
  • 環境調整:寒冷や乾燥が強い日は屋内で、寒い屋外では保温・保湿マスクの使用が役立ちます。 [6]
  • 競技の選び方:短時間の反復や休憩を挟む競技は症状を起こしにくい傾向があります。 [7]
  • 症状が出やすい日は強度を調整:風邪気味、アレルゲンの多い日、睡眠不足の日は軽めに。 [6]

どんな運動が向いている?

  • 比較的起こりにくいもの:短い全力を断続的に使う競技(例:筋力トレ、体操、フェンシング、ゴルフ)やウォーキング、ゆったりサイクリング。 [7]
  • 注意が必要なもの:長時間の持久運動(長距離走、サイクリング、トライアスロン)や寒冷環境のスポーツ(アイスホッケー、スキーなど)。対策を徹底すれば参加は可能です。 [7]
  • 参考:水泳は温かく湿った空気で症状が出にくいことが多く、取り組みやすい選択肢です。 [8]

薬による予防とコントロール

EIBが疑われる、または運動時に咳・喘鳴・息切れが出る方は、事前吸入(プレリメディケーション)や長期管理を併用すると運動を安心して続けられます。

  • 運動前の短時間作用型β2刺激薬(SABA:サルブタモール/アルブテロール等)
    運動の直前〜15分前の吸入で、強い予防効果が期待できます。頻回の毎日使用は効果の減弱(耐性)を招くため、使いすぎサインとしてコントロールの見直しが必要です。 [2] [9] [10] [11]
  • 症状が続く場合の追加策
    SABA前投与でも症状が残る場合は、毎日の吸入ステロイド(ICS)、ロイコトリエン受容体拮抗薬、あるいは運動前の肥満細胞安定化薬が推奨されます。 [2]
  • ICS/フォームテロールの“頓用併用”
    いわゆる必要時のブデソニド/フォームテロールは、運動での気道過敏を減らし、定期ICSと同等の改善を達成しつつ、総ステロイド量を抑えられたという報告があります。 [12] [13]

よくある誤解と正しい考え方

  • 誤解:運動は喘息を悪化させるから「避けるべき」。
    正しい考え方:コントロールを整え、必要に応じて事前吸入や環境調整を行えば、ほとんどの人が安全に運動できます。 [1] [2]
  • 誤解:運動で苦しくなるのは運動が悪いから。
    正しい考え方:背後にEIBやコントロール不良がある可能性があり、対策で改善可能です。 [6] [2]

実践プランの例

  • ウォームアップ10〜15分(軽いジョグ→動的ストレッチ→短い流し)で呼吸を慣らす。 [6]
  • 持久系はインターバルにして、間に歩行や低強度を挟む。 [14]
  • 寒い日は屋内へ、屋外ならネックゲイターやマスクで吸気を温める。 [6]
  • 必要時の事前吸入を主治医の指示通りに使用し、使用回数が増えてきたら受診して長期コントロール薬の調整を相談する。 [11] [2]

運動種目と注意点(比較表)

観点症状が出にくい/取り組みやすい注意が必要(対策すれば可)
運動パターン短い全力の反復、休憩がある長時間の連続運動
ウォーキング、筋トレ、体操、ゴルフ、フェンシング、軽いサイクリング長距離走、サイクリング、トライアスロン
環境屋内、温暖で湿度あり(水泳は好相性)寒冷・乾燥環境(スキー、アイスホッケー等)
主要対策十分なウォームアップ、強度の段階化事前吸入、保温・保湿マスク、インターバル化

出典のポイント:水泳や短時間反復系競技が比較的安全、持久・寒冷環境ではEIBに注意。 [7] [8]


受診・相談の目安

  • 運動前投与をしても咳・喘鳴・息切れが繰り返す
  • SABAの使用が増えている(週に複数回、または毎日)
  • 夜間症状が出る、日常生活でも息苦しい
    これらはコントロール不十分のサインで、長期管理薬(ICS等)の調整や代替診断(声帯機能不全、心肺疾患、貧血、不安など)の検討が必要になることがあります。 [11] [6]

まとめ

  • 運動は避けるべきではなく、むしろ推奨されます。適切な管理と対策があれば、ほとんどの方が症状なく安全に運動できます。 [1] [5]
  • 運動で症状が出る場合は、ウォームアップ・環境調整・事前吸入などで予防し、必要なら長期コントロール薬を用いて全体のコントロールを高めましょう。 [2] [9]

この内容を踏まえて、今の運動習慣や運動中の症状、使っている吸入薬の有無を教えていただければ、より具体的な運動プランと対策を一緒に考えられます。

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出典

  1. 1.^abcdExercise(aafa.org)
  2. 2.^abcdefgAn official American Thoracic Society clinical practice guideline: exercise-induced bronchoconstriction.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  3. 3.^Exercise(aafa.org)
  4. 4.^Effects of aerobic training on psychosocial morbidity and symptoms in patients with asthma: a randomized clinical trial.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  5. 5.^abExercise is associated with improved asthma control in adults.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  6. 6.^abcdefghExercise-induced bronchoconstriction: diagnosis and management.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  7. 7.^abcdeAsthma & Allergy Foundation of America What Is Exercise Induced Asthma?(aafa.org)
  8. 8.^abEl ejercicio y el asma en la escuela: MedlinePlus enciclopedia médica(medlineplus.gov)
  9. 9.^abBeta₂-agonists for exercise-induced asthma.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  10. 10.^Exercise-induced asthma-Exercise-induced asthma - Diagnosis & treatment - Mayo Clinic(mayoclinic.org)
  11. 11.^abcExercise-induced asthma-Exercise-induced asthma - Diagnosis & treatment - Mayo Clinic(mayoclinic.org)
  12. 12.^Combination of budesonide/formoterol on demand improves asthma control by reducing exercise-induced bronchoconstriction.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  13. 13.^Combination of budesonide/formoterol on demand improves asthma control by reducing exercise-induced bronchoconstriction.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  14. 14.^Exercising and asthma at school : MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)

ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。