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Medical illustration for 甲状腺がんと低ナトリウム血症の関係と注意点 - Persly Health Information
Persly 医療専門チームPersly 医療専門チーム
2026年1月26日5分で読める

甲状腺がんと低ナトリウム血症の関係と注意点

要点:

甲状腺がんの方における「低ナトリウム(低ナトリウム血症)」の意味

結論として、低ナトリウム血症は甲状腺がんに伴って起こりうる電解質異常で、状況によっては注意が必要です。 多くは軽症で自然に改善しますが、数字が大きく下がる場合や症状がある場合は安全のため迅速な評価と対応が望まれます。


低ナトリウム血症とは?

  • 血液中のナトリウム(Na)が低くなる状態のことです(一般的にNa<135 mEq/L)。
  • 軽症なら無症状のこともありますが、頭痛・吐き気・倦怠感・ふらつきなどが出ることがあり、重症では意識障害やけいれんのリスクがあります。
  • がん診療の場面では術後や薬剤、ホルモン変化で起こりやすい傾向があります。 [PM15]

甲状腺がんと低ナトリウムが関係する主な場面

1) 甲状腺ホルモンを中止して行う検査・治療の準備

  • 甲状腺全摘後に放射性ヨード(RAI)検査・治療のため、一時的に甲状腺ホルモン(レボチロキシン)を中止して意図的に甲状腺機能低下症にすることがあります。
  • この「医原性の急性甲状腺機能低下症」の際に、まれですが低ナトリウムが起きることがあります。 [PM13]
  • 高齢、強い吐き気・嘔吐、SIADH(抗利尿ホルモン不適合分泌症候群)の誘因などが重なると、重症化する例も報告されています。 [PM14]

2) 手術後(甲状腺手術そのもの以外の頭蓋底病変手術ではより顕著)

  • 一般に術後患者では低ナトリウム血症のリスクが上がることが知られています。 [1]
  • 特に下垂体・頭蓋底領域の手術後は数日遅れて低ナトリウムが起きることが多く、水分制限で再入院を減らせたという知見があります(術後4–8日頃に起きやすい)。 [2] [3]
  • 甲状腺がんの手術(甲状腺切除)単独では頻度は高くありませんが、術後は薬剤・疼痛・吐き気など複合要因で低ナトリウムが起こりうるため、症状や数字の推移に注意が必要です。 [1]

3) がん関連のSIADH(まれ)

  • 低ナトリウムの最も一般的な原因の一つがSIADHで、悪性腫瘍や治療薬、吐き気・痛みなどで誘発されます。 [PM15]
  • 甲状腺がんでは頻度は低いですが、他のがん併存や薬剤でSIADHパターンを示すことがあります。 [PM15]

どれくらい心配すべき?

  • 軽度で症状がない場合は、経過観察や軽い水分調整で改善することがあります。 [PM15]
  • 症状がある、急に悪化する、数値が著しく低い(例:Na<125 mEq/L)といった場合は、医療機関での評価が推奨されます。 [PM15]
  • 甲状腺ホルモン中止中(RAI準備など)に低ナトリウムが出た場合、ホルモン再開・適切な補液などで改善することが期待できます。 [PM13]
  • 高齢者、術後数日目、嘔吐が強い、利尿薬や特定薬剤を使用しているといった条件があるとリスクが高まる可能性があります。 [PM14] [1]

主な症状チェックリスト

  • だるさ・頭痛・吐き気・嘔吐
  • ふらつき・集中力低下
  • こむら返り・筋力低下
  • 強い眠気・意識混濁・けいれん(重症時)

こうした症状が新たに出たら、数値の再確認をおすすめします。 [PM15]


受診時に確認されるポイント(検査の進め方)

  • 血清ナトリウムと血漿浸透圧:血液の濃さの指標で、低ナトリウムのタイプ判別に役立ちます。 [4]
  • 尿浸透圧・尿ナトリウム:SIADHか、体液量の過不足かを見分けます。 [PM15]
  • 甲状腺機能(TSH・FT4):甲状腺ホルモン中止や不足の関与を確認します。 [PM13]
  • 副腎機能(コルチゾール):副腎不全はSIADHと同じ所見を示すため、重要な鑑別です。 [PM15]
  • 薬剤・水分摂取量・嘔吐や痛み:誘因の把握に役立ちます。 [PM15]

対応の基本方針

  • 軽症・慢性型:まずは水分制限が基本になります(例:1日約1,000mLに制限する方法が文献上有効という報告)。 [3]
  • 急性・症状が強い場合:高張食塩水(3%食塩水)のボーラス投与などを用いて、慎重にナトリウムを安全な範囲に是正します。 [PM15]
  • SIADHが疑われる場合:水分制限が難しいときは、バソプレシン2受容体拮抗薬(バプタン系)の選択肢が示されています。 [PM15]
  • 甲状腺ホルモン中止が原因のとき:ホルモン補充再開と適切な補液で改善が期待できます。 [PM13]

予防のヒント

  • RAI準備でホルモンを止める期間は、倦怠感・吐き気・水の飲み過ぎに注意し、症状があれば早めに連絡しましょう。 [PM13] [PM14]
  • 術後4–8日目は低ナトリウムが出やすい時期とされ、過度な水分摂取を控える工夫が再入院減少に寄与したという報告があります。 [2] [3]
  • 薬剤確認(利尿薬、SSRIなど)や高齢の方の体調変化にも気をつけると安心です。 [1] [PM15]

よくある質問

低ナトリウムは甲状腺がんの進行を意味しますか?

  • 直接、がんの進行を示すものではありません。 多くは治療過程やホルモン調整、術後の生理的変化に伴うものです。 [PM13] [2] [PM15]

数値が低いとき、すぐに救急に行くべき?

  • 症状が強い(意識障害・けいれん・激しい嘔吐など)場合は緊急受診が望まれます。 軽度で無症状なら、主治医の指示に従って再検査や水分制限を検討します。 [PM15]

まとめ

  • 甲状腺がん診療の流れの中で、低ナトリウム血症は起こりうる合併症です。 特にホルモン中止時(RAI準備)や術後の一定期間に注意が必要です。 [PM13] [2]
  • 症状がある、急激な低下、重度の低値では、早期評価と適切な治療が安全につながります。 [PM15]
  • 多くのケースで原因を見極めれば、改善可能ですので、不安なときは遠慮なく主治医に相談してください。 [PM13] [PM15]

参考の指標(比較表)

状況典型的な誘因目立つタイミング主な対応
RAI準備のホルモン中止甲状腺機能低下、吐き気・SIADH誘因中止後〜RAI前後ホルモン補充再開、補液、必要に応じて水分制限 [PM13] [PM14]
術後(頭蓋底/下垂体含む)非浸透圧性バソプレシン分泌、術後ストレス術後4–8日頃に遅れて発症水分制限(例:1,000mL/日)、症状に応じ是正 [2] [3]
がん関連SIADH吐き気・痛み・薬剤などいつでも起こりうる水分制限、場合によってバプタン系、原因薬見直し [PM15]
高齢・薬剤併用利尿薬、SSRIなど投与期間中薬剤調整、水分管理、定期的な電解質チェック [1]

疑問や不安が続く場合は、症状や最近の検査値(Na、浸透圧、尿検査、甲状腺・副腎ホルモン)を整理して主治医に共有すると、より適切なアドバイスが受けられます。 [PM13] [PM15] [4]

関連する質問

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出典

  1. 1.^abcdeDailyMed - SODIUM CHLORIDE injection, solution(dailymed.nlm.nih.gov)
  2. 2.^abcdePreventing hyponatremia in the patient after pituitary surgery(mayoclinic.org)
  3. 3.^abcdPreventing hyponatremia in the patient after pituitary surgery(mayoclinic.org)
  4. 4.^abExamen de osmolalidad de la sangre: MedlinePlus enciclopedia médica(medlineplus.gov)

ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。