皮膚がんで肝酵素が高い意味と注意点
皮膚がん患者の「肝酵素上昇」は何を意味する?
結論として、肝酵素(AST・ALT・ALP・GGTなど)の上昇は「肝臓や胆道に負担がかかっているサイン」で、原因は複数あり得ます。 皮膚がんそのものというより、治療薬の副作用、胆道のトラブル(閉塞・炎症)、感染、自己免疫性肝障害などが考えられ、数値の程度や同時に上がっている項目によって対応が変わります。一般的には、軽度の上昇は経過観察で済むこともありますが、一定以上の上昇や黄疸・倦怠感がある場合は早めの評価が望まれます。 [1] 肝機能検査は、AST/ALT(肝細胞の障害の指標)だけでなく、ALP・GGT(胆道系の閉塞や障害を示唆)やビリルビン(胆汁うっ滞や重症度)を組み合わせて解釈します。 [2] [3]
肝酵素の種類と「上がり方」の意味
どの項目が上がっているかで、推定される原因が変わります。
- AST・ALT(アミノトランスフェラーゼ)
- 主に肝細胞の炎症・障害で上昇します。免疫療法や一部の薬剤性肝障害で上がることがあります。 [PM17]
- ALP(アルカリフォスファターゼ)・GGT(γ-GTP)
- 総ビリルビン
胆道系の数値(ALP・GGT・ビリルビン)主体で上がる場合は、胆管の閉塞やうっ滞を疑うことがあります。 画像検査で評価することが一般的です。 [2] 一方、AST・ALT主体の上昇は薬剤性や免疫関連肝障害(irAE)などを考えます。 [PM17]
皮膚がん治療と肝酵素上昇の関係
皮膚がん(特にメラノーマ)の治療薬は、肝酵素上昇を副作用として起こすことがあります。
- 免疫チェックポイント阻害薬(例:ニボルマブ、イピリムマブ)
- 免疫関連肝障害(肝炎)によりAST/ALTが上がることがあります。頻度は幅があり、発現は治療開始後数週〜数か月でみられます。 [PM17] 一時中断やステロイドなどで改善することが一般的に期待されます。 [PM18]
- 分子標的薬(例:BRAF/MEK阻害薬の併用)
- そのほかの薬剤
- 一部の皮膚がん治療薬で稀に薬剤性肝障害が報告されています。個別薬剤の可能性評価が必要です。 [PM14]
どのくらいの数値なら心配すべき?
「どの程度の上昇か」と「ビリルビンの上昇があるか」で緊急度が変わります。
- 軽度(AST/ALTが基準上限の1〜3倍程度、ビリルビン正常)
- 多くは経過観察や再検で評価し、薬剤の一時調整を検討することがあります。 [7]
- 中等度〜重度(AST/ALTが5倍以上、またはビリルビン上昇を伴う)
- 肝機能重症度の目安(NCIやCTEP基準)
- ビリルビンの上昇は重症度を上げる要素で、用量調整や禁忌の判断に直結します。 [4]
加えて、アルブミン・プロトロンビン時間(INR)などの機能指標も、薬剤投与可否や減量判断に用いられます。 [8] 単独の数値ではなく、症状・画像所見・既往歴と合わせて総合的に判断することが重要です。 [8]
よくある原因の可能性(少なくとも複数候補を考える)
肝酵素上昇の原因は一つに限られず、次のような可能性が考えられます。
- 免疫療法による免疫関連肝障害(肝炎)によるAST/ALT上昇。 [PM17] [PM18]
- 胆道系のうっ滞・閉塞に伴うALP・GGT・ビリルビンの上昇。腫瘍や炎症が背景にあることがあります。 [2] [3]
- 薬剤性肝障害(皮膚がん治療薬や併用薬による)。 [PM14]
- ウイルス肝炎や感染、アルコール、脂肪肝などの一般的な肝疾患の併存。
- これらは肝機能評価時に同時に除外・確認されることが通常です。 [8]
受診の目安・すぐに相談すべき症状
次の状況では早めの主治医への相談が望まれます。
- AST/ALTが大きく上昇(例えば5倍以上)した、または再検でも改善しない。 [6] [7]
- 総ビリルビンの上昇や黄疸(皮膚・白目が黄色い)、濃い尿・淡い便、右上腹部痛、強い倦怠感がある。 [4] [2]
- 発熱、発疹、かゆみなど他の免疫関連副作用が同時に出ている。 [PM17]
多くの場合、検査の再確認、画像検査、投薬の一時調整や減量で安全に対応可能です。 [6] [7]
検査・評価はどう進める?
一般的な流れは次の通りです。
- 再採血でAST/ALT、ALP、GGT、総ビリルビンの推移を確認。 [2] [3]
- 服用中の薬剤の見直し(治療薬・サプリ・市販薬を含む)。 [8]
- ウイルス肝炎などの除外検査、必要に応じて腹部超音波やCTで胆道閉塞・肝病変の確認。 [2]
- 重症度に応じた薬剤の休薬・減量、免疫療法関連ならステロイドなどの管理を検討。 [6] [7] [PM18]
表:どの項目が上がっているかで見るポイント
| 主要項目 | 主な意味 | よくある原因の例 | 受診・対応の目安 |
|---|---|---|---|
| AST・ALT | 肝細胞障害 | 免疫関連肝炎、薬剤性肝障害、ウイルス肝炎 | 3–5倍以上で評価強化、5倍以上や症状ありで休薬検討 [6] [7] |
| ALP・GGT | 胆道系障害・閉塞 | 胆管圧迫、胆汁うっ滞、腫瘍による閉塞 | 画像評価(超音波・CT)を検討 [2] |
| 総ビリルビン | 黄疸・重症度 | 胆道閉塞、重度肝障害 | 上昇を伴う場合は重症度高く用量調整の判断重要 [4] |
まとめ
皮膚がん治療中の肝酵素上昇は「珍しくない」一方で、原因と重症度によって対応が変わります。 AST/ALT主体の上昇は免疫療法や薬剤性を、ALP/GGT・ビリルビン主体の上昇は胆道系の問題を示唆することが多く、検査の再確認と画像評価、投薬調整で安全に管理できる可能性があります。 [2] [3] 数値が大きい、ビリルビンが上がる、黄疸などの症状がある場合は、早めに主治医へ相談することが望まれます。 [4] [6] [7]
関連する質問
出典
- 1.^↑Elevated liver enzymes - Mayo Clinic(mayoclinic.org)
- 2.^abcdefghiLiver function tests(stanfordhealthcare.org)
- 3.^abcdeLiver function tests(stanfordhealthcare.org)
- 4.^abcde3248-Anticancer drug dose modifications in patients with abnormal liver function(eviq.org.au)
- 5.^↑3248-Anticancer drug dose modifications in patients with abnormal liver function(eviq.org.au)
- 6.^abcdefg3600-Melanoma metastatic biNIMEtinib and encorafenib(eviq.org.au)
- 7.^abcdefgh3600-Melanoma metastatic biNIMEtinib and encorafenib(eviq.org.au)
- 8.^abcd3248-Anticancer drug dose modifications in patients with abnormal liver function(eviq.org.au)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。