
WHOの資料に基づく | 精巣がんの症状として体重増加が起こることはありますか?
精巣がんの典型症状に体重増加は含まれず、主なサインは陰嚢のしこり・腫れ、重さの感覚、乳房の変化、背部痛などです。体重増加は治療(化学療法やステロイド)、むくみ、食欲・活動量の変化などによることがあり、がん自体の直接症状ではありません。進行例ではむしろ体重減少がみられることがあるため、気になる場合は泌尿器科で評価を受けましょう。
精巣がんの症状として「体重増加」は起こるのか
結論として、精巣がんそのものの典型的な症状に「体重増加」は含まれません。一般的な精巣がんの症状は、陰嚢のしこり・腫れ、陰嚢の重さの感覚、下腹部や鼠径部(そけい部)の鈍い痛み、乳房の腫れや痛み(男性の乳房肥大)、背部痛などであり、体重増加は通常のリストには挙がりません。 [1] これらは診療で広く参照される代表的なサイン・症状で、体重変化よりも局所症状が中心です。 [2] また、医療情報の要約でも、診断に至る主症状は「精巣の腫瘤や不快感」であり、体重増加は一般的な症状として示されていません。 したがって、体重増加は精巣がんの“よくある直接症状”ではないと解釈されます。 [3]
例外的に体重が増えるケースがあるとすれば
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治療の影響(化学療法)
シスプラチン系化学療法の開始後、数ヶ月のスパンで腹部内臓脂肪と皮下脂肪の増加、インスリン抵抗性や一過性の脂質異常が見られた研究があります。3か月で内臓脂肪が増加し、9か月でBMIと皮下脂肪量が有意に増加しました。 [4] 同じコホートで、総コレステロールやLDLコレステロール、インスリン値の上昇も短期的に認められています(その後ベースラインに回帰)。 治療過程での代謝変化が、体重や体脂肪の増加につながる場合があります。 [5] -
生活習慣・薬剤・体液貯留
がん診療中は、ステロイド系薬剤の併用、食欲変化、活動量低下、むくみ(体液貯留)など、がんそのもの以外の要因で体重が増えることがあります。 体重増加の原因は多因子的で、がん特有のサインとは限りません。 [6] また、がん治療中は体重増加がみられることがあり、薬剤や食欲変化が背景にあるため、原因を医師と確認するのが望ましいとされています。 [7] 同様の栄養ガイダンスでは、治療中の体重増加は珍しくなく、まず原因評価を行うことが推奨されています。 [8]
体重減少はどうか(比較のため)
精巣がんの進行例や、腹部の後腹膜に発生する「性腺外胚細胞腫瘍(精巣と同じ胚細胞腫瘍が体幹中央に発生)」では、痛み、腹部腫瘤、発熱、乳房肥大とともに体重減少がみられる報告があります。 [9] また、精巣原発腫瘍が明確でない「潜在性(オカルト)胚細胞腫瘍」の転移進展時には、腹痛や全身症状が先行して受診することがあり、こうした全身症状の中には体重減少が含まれる症例報告もあります。 [10] 別の症例でも、発熱・体重減少・腹部痛・リンパ節腫脹が主訴で、精巣に自覚症状が乏しかった例が報告されています。 このように“体重減少”は全身進行時の非特異的症状として現れ得ますが、“体重増加”は症状としては一般的でありません。 [11]
関連症状:ホルモンの変化と乳房の腫れ
精巣がん(特に絨毛癌成分を含む胚細胞腫瘍)では、ホルモンの異常分泌により男性の乳房肥大(女性化乳房)が起こることがあります。これは典型症状リストにも含まれており、乳房の腫れや痛みを伴うことがあります。 [1] 乳房の変化はホルモン由来のよくある随伴症状ですが、体重増加それ自体はホルモン症状の代表ではありません。 [2] 進行例では同様の乳房肥大が目立つことがあり、予後不良の傾向と関連した報告もあります。 [12]
肥満と精巣がんリスクの関係
体重増加(肥満)が「精巣がん発症リスク」を直接高めるかについては、明確な一貫性は示されていません。青年期の体格と発症の関連を検討した研究では、将来精巣がんとなった群がむしろやや痩せて小柄であった傾向が観察されています。 [13] 別の解析では、精巣胚細胞腫瘍患者のBMIが高い傾向を示す文献があるものの、腹部筋量の増加では説明できず、他部位の脂肪増加の寄与が示唆されるという見解もあります。 ただし、これらは観察的知見であり、肥満が直接的に精巣がんの原因という強固な証拠ではありません。 [14] 他がん種では、過体重や肥満が複数のがんのリスク要因とされますが、精巣がんはその代表リストには通常含まれません。 “肥満=精巣がん”という単純な因果は支持されていないのが現状です。 [15] [16]
心配な体重増加があるときのチェックポイント
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局所症状の有無
陰嚢のしこり・腫れ、重い感じ、痛み、不快感、突然の陰嚢腫張、乳房の腫れや痛み、背部痛などがないか確認しましょう。 これらがある場合は、超音波検査や腫瘍マーカー採血、泌尿器科受診が推奨されます。 [1] [3] -
治療中の体重増加
化学療法中に短期的な脂肪量増加や代謝の乱れが起こることがあるため、主治医と原因(薬剤、むくみ、食事、活動量低下など)を評価してもらいましょう。 [4] [5] 体重変動の管理には、バランスのよい食事・定期的な体重測定・不要な高カロリー嗜好品の調整が役立ちます。 [7] -
全身性の要因
体重増加は、甲状腺機能の変化、心・腎のコンディション、薬剤、体液貯留などさまざまな要因でも起こります。 がん以外の医療的原因が隠れていないかも同時に見ていくことが大切です。 [6]
まとめ
- 精巣がんの“典型症状”に体重増加は含まれません。 陰嚢のしこり・腫れ、痛みや重さの感覚、乳房の変化、背部痛などが主要なサインです。 [1] [2]
- 治療過程(特にシスプラチン系化学療法)では、短期的な脂肪増加や代謝変化により体重が増えることがあります。 これはがん自体の症状というより「治療関連の現象」です。 [4] [5]
- 進行例では“体重減少”などの全身症状が出ることがあり、体重増加とは対照的です。 非特異的症状が続く場合は早めの評価が重要です。 [9] [11]
参考:精巣がんの代表的症状(一覧)
- 陰嚢のしこり・腫れ(片側に多い) [1]
- 陰嚢の重さの感覚・不快感 [2]
- 下腹部・鼠径部の鈍い痛み [1]
- 突然の陰嚢腫張・痛み [2]
- 乳房の腫れ・痛み(女性化乳房) [1]
- 背部痛(後腹膜リンパ節の進展に伴うことあり) これらが続く場合は受診が望まれます。 [2] [3]
今の体重増加が「治療中」か「未治療」の状況か、また陰嚢のしこりや乳房の変化など他の症状があるかを教えていただけますか?
関連する質問
出典
- 1.^abcdefgSymptoms and causes - Mayo Clinic(mayoclinic.org)
- 2.^abcdefTesticular cancer - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
- 3.^abcTesticular Cancer(medlineplus.gov)
- 4.^abcAbdominal visceral and subcutaneous fat increase, insulin resistance and hyperlipidemia in testicular cancer patients treated with cisplatin-based chemotherapy.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 5.^abcAbdominal visceral and subcutaneous fat increase, insulin resistance and hyperlipidemia in testicular cancer patients treated with cisplatin-based chemotherapy.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 6.^abBody Weight(medlineplus.gov)
- 7.^ab영양정보 : 화순전남대학교병원(cnuhh.com)
- 8.^↑영양정보 : 화순전남대학교병원(cnuhh.com)
- 9.^abExtragonadal germ cell tumours.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 10.^↑Occult germ-cell testicular tumours.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 11.^abUnusual presentation of mixed germ cell tumour from testis in a 45-year-old man.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 12.^↑[Gynecomastia in testicular tumors].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 13.^↑Body size and cancer of the testis.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 14.^↑Is testicular germ cell cancer associated with increased muscle mass or adiposity?(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 15.^↑Obesity and Cancer(cdc.gov)
- 16.^↑Obesity and Cancer(cdc.gov)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


