
PubMedの資料に基づく | 精巣がんの症状としてめまいが現れることはありますか?
要点:
めまいは精巣がんの典型的な初期症状ではなく、主な症状は陰嚢のしこり・腫れ、重だるさ、鼠径部の鈍痛などです。とはいえ、脳転移や傍腫瘍性神経症候群、シスプラチン系化学療法の耳毒性などにより二次的にめまいが生じることがあります。随伴症状や経過に応じて泌尿器科・神経内科・耳鼻咽喉科への受診を検討してください。
結論
一般的な精巣がんの初期症状として「めまい」が直接現れることは、通常は多くありません。精巣がんの典型的な症状は、陰嚢(精巣)のしこり・腫れ、重だるさ、下腹部や鼠径部の鈍痛、急な陰嚢の腫脹、乳房の張り・痛み、背部痛などであり、めまいは代表的症状ではありません。 [1]
精巣がんの典型的症状
これらがまず疑うべきサインで、めまいは一般的なリストには含まれません。 [1]
めまいが生じうる「二次的」な状況
めまいは精巣がんそのものの初発症状としては稀ですが、以下のような「病勢の広がり」や「治療の影響」に伴って現れることがあります。
1) 中枢神経系への転移・関連症状
- 精巣がんが肺、腹部、骨盤、背中、脳などへ広がると、その部位の症状が出ることがあります。 [2]
- 転移や腫瘍関連の神経症状が先に出て診断に至るケースも報告されており、若年男性で原因不明の神経症状がある場合、胚細胞腫瘍を考慮することがあります。 [3]
- 脳幹や小脳の障害があると、ふらつき・平衡障害・眼球運動異常などに伴って、めまい感を自覚することがあります。 [3]
2) 傍腫瘍性神経症候群(パラネオプラスティック症候群)
- 一部の精巣腫瘍では、免疫が神経系を誤って攻撃する傍腫瘍性神経症候群が生じ、小脳失調(歩行のふらつき・バランス不良・めまい感)や辺縁系脳炎(記憶・感情・自律機能などの変化)をきたすことがあります。 [4] [5]
- 特に、精巣腫瘍に関連した抗Ma2抗体などによる脳炎が知られており、眼球運動障害や運動失調、言語障害が進行的に現れることがあります。 [6] [7] [8] [9]
- こうした場合、めまいは「小脳・脳幹障害に伴う平衡障害の一部」として出現しうるため、通常の耳性めまいとは経過や随伴症状が異なることが多いです。 [4] [5]
3) 治療(化学療法)による影響
- 精巣がんのシスプラチン系化学療法は高い治療効果をもたらしますが、神経毒性(末梢神経障害)や耳毒性(難聴・耳鳴り)が起こることがあります。 [10]
- 内耳(聴覚・平衡機能)への薬剤性障害が長期合併症として報告されており、耳鳴り・聴力低下とともに、平衡感覚の不調からめまい感を訴える場合があります。 [11] [12] [13]
- こうした副作用は投与量や個人差により強さが異なり、長期間持続する例もあります。 [12] [13]
めまいを感じたときの見分け方のヒント
- 耳性(良性発作性頭位めまい症など)は、頭位変更で短時間の回転性めまいが誘発されやすい一方、神経学的なめまいは、歩行のふらつき、複視、構音障害、嚥下困難、手足の協調運動異常などを伴うことがあります。 [4] [14]
- 精巣がんの治療中・治療後に耳鳴りや聴力の低下を同時に自覚しはじめためまいであれば、内耳障害(耳毒性)を疑い、担当医に相談することが勧められます。 [12] [10]
受診の目安と注意点
- 新たな神経症状(ふらつき、複視、言語障害、嚥下困難、歩行困難など)が出現・進行する場合は、神経内科受診や画像検査を含めた精査が望ましいです。 [4] [5]
- 精巣がんの治療歴があり、耳鳴り・聴力低下とめまいが続く場合は、耳鼻咽喉科(神経耳科)での聴力・平衡機能評価を検討してください。 [12] [10]
- まだ診断前で、陰嚢のしこり・腫れや重だるさ、下腹部・鼠径部の鈍痛といった典型的サインがある場合は、泌尿器科受診が優先です。 [1]
まとめ
- めまい自体は精巣がんの「典型的初期症状」ではないため、単独で精巣がんを強く疑う所見ではありません。 [1]
- ただし、脳への転移や傍腫瘍性神経症候群、化学療法による内耳・神経障害などに伴って、めまいが二次的に生じる可能性はあります。 [2] [4] [5] [3] [6] [12] [10] [11]
- めまいの背景が心配なときは、随伴症状(ふらつき、複視、耳鳴り・聴力低下、陰嚢の異常など)と経過を整理し、適切な診療科に相談することが大切です。 [4] [1] [12]
参考までに、Proモードのご利用や各種ご相談は次のリンクから行えます。 https://persly.channel.io
関連する質問
出典
- 1.^abcdefghSymptoms and causes - Mayo Clinic(mayoclinic.org)
- 2.^abTesticular cancer: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
- 3.^abcMetastatic testicular cancer and extragonadal germ cell tumor presenting with neurological symptoms.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 4.^abcdefParaneoplastic syndromes of the nervous system - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
- 5.^abcdParaneoplastic syndromes of the nervous system - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
- 6.^abAnti-Ma2 paraneoplastic encephalitis associated with testicular germ cell tumor treated by carboplatin, etoposide and bleomycin.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 7.^↑Newly discovered autoimmune disease associated with testicular cancer Videos(mayoclinic.org)
- 8.^↑Newly discovered autoimmune disease associated with testicular cancer Videos(mayoclinic.org)
- 9.^↑Newly discovered autoimmune disease associated with testicular cancer Videos(mayoclinic.org)
- 10.^abcdComplications associated with chemotherapy in testicular cancer management.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 11.^abTesticular cancer: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
- 12.^abcdefObservational study of prevalence of long-term Raynaud-like phenomena and neurological side effects in testicular cancer survivors.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 13.^abImpact of long-term serum platinum concentrations on neuro- and ototoxicity in Cisplatin-treated survivors of testicular cancer.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 14.^↑Paraneoplastic syndromes of the nervous system - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


