
PubMedの資料に基づく | 精巣がんの症状として背中の痛みは起こり得ますか?起こる場合、どのような特徴や受診の目安がありますか?
精巣がんでは後腹膜リンパ節やまれな骨転移により、持続的な背中・腰の痛みが生じることがあります。数週間続く鈍痛や夜間痛、陰嚢のしこり・腫れ、神経症状があれば早めに泌尿器科受診が推奨されます。診断には陰嚢超音波、腫瘍マーカー、CTが用いられます。
精巣がんと背中の痛み:起こり得る理由、特徴、受診の目安
精巣がんでは、背中の痛みが症状として起こり得ます。特に進行して後腹膜リンパ節(お腹の奥のリンパ節)へ転移した場合、腰背部の鈍い痛みや持続する痛みとして現れることがあります。 [1] 精巣がんの症状は「陰嚢(いんのう)のしこり・腫れ」「陰嚢の重さ」「下腹部や鼠径部の鈍痛」などが中心ですが、病期が進むと腹部・背中・わき腹の痛みが出ることがあります。 [1] [2]
背中の痛みが起こるメカニズム
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後腹膜リンパ節への転移による圧迫
精巣からのリンパ流は主に腹部の大動脈周囲(後腹膜)へ向かうため、ここに腫瘍が大きくなると周囲組織を圧迫して腰背部痛を生じます。 [3] 若年男性で背部痛を主訴に受診し、後腹膜リンパ節転移が見つかるケースが報告されています。 [3] -
骨(脊椎)への転移による痛み
精巣がんの骨転移は多くはありませんが、腰椎を含む脊椎に転移すると局所の強い腰痛や神経症状(しびれ・脱力)が出ることがあります。 [4] 骨転移はしばしば肺や後腹膜リンパ節などの広範な転移と併発し、重症化すると脊髄圧迫(歩行障害、膀胱直腸障害)に至るため早期の認識が重要です。 [4] 背部痛は転移のサインになり得るため、孤立した骨病変が見つかった場合でも精巣原発の確認が推奨されます。 [4]
背中の痛みの特徴
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持続的な鈍痛(にぶい痛み)や腰痛
一般的な筋肉痛と違い、安静や一般的な鎮痛薬で改善しにくく、数週間以上持続することがあります。 [1] [3] -
若年男性における「原因不明の腰痛」
明らかな整形外科的誘因がない若年男性で、背部痛が主症状となることがあり、精巣の異常を伴わないこともあります。 [3] この場合、診断が遅れやすい傾向が指摘されています。 [3] -
他の症状の併存
背部痛がある場合、同時に「陰嚢のしこり・腫れ」「陰嚢の重さ」「鼠径部や下腹部の鈍痛」「乳房の張りや痛み(男性の乳房の変化)」などがみられることがあります。 [1] [5] 背部痛は病勢進行の一徴候として出ることがあるため、全身症状(体重減少、倦怠感)にも注意が必要です。 [6]
受診の目安(レッドフラッグ)
以下に当てはまる場合は、泌尿器科を早めに受診することがすすめられます。
- 背中・腰の痛みが2週間以上続く、または徐々に悪化する。整形外科的原因がはっきりしない場合も受診が望まれます。 [1] [3]
- 陰嚢のしこり・腫れ・硬さの変化、片側の精巣の大きさの変化、陰嚢の重さを感じる。 [1] [5]
- 下腹部・鼠径部の鈍痛や張りが続く。 [1] [5]
- 息切れ、持続する咳、胸痛など、遠隔転移を示唆する症状がある。 [6]
- 夜間も覚めるような局所の強い腰痛、神経症状(足のしびれ・力が入りにくい)、排尿や排便の障害などがある場合は、脊髄圧迫の可能性があり救急受診を検討します。 [4]
- 若年男性で「原因不明の腰痛」が主症状の場合でも、精巣の自己触診や既往(過去の精巣の痛み・腫れ)について確認し、異常があれば受診が妥当です。 [3]
診断の流れ
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視触診と陰嚢超音波検査
精巣のしこりが「精巣内」にあるかを確認し、腫瘍を疑う際の第一選択です。 [7] 超音波で「精巣内腫瘤」が示唆される場合、精巣がんの可能性が高まります。 [8] -
画像検査(CTなど)
胸腹骨盤のCTで後腹膜リンパ節転移や肺転移などを評価します。 [10] 転移が疑われる場合、必要に応じて骨シンチや脊椎MRIが検討されます。 [11]
背中の痛みと鑑別のポイント
- 筋骨格系の腰痛は、動作で増悪・休息で改善しやすく、局所の圧痛が主体です。
- 腫瘍性の痛みは、持続的で夜間痛があり、鎮痛薬が効きにくい、または体重減少・倦怠感などの全身徴候を伴うことがあります。 [1]
- 若年男性で一般的な腰痛の「レッドフラッグ」は限定的ですが、既往のがん(精巣がん含む)がある場合の腰痛は悪性の可能性を高めるサインになります。 [12]
すぐに受診すべきサイン(要注意)
- 片側の精巣のしこり・硬さ・腫れを自覚した。 [1]
- 数週間続く腰背部痛と、陰嚢の違和感(重さ・張り)がある。 [1] [5]
- 強い腰痛+脚のしびれ・筋力低下・排尿排便の異常が出てきた。脊髄圧迫の可能性があり救急対応が必要になることがあります。 [4]
まとめ
- 精巣がんでは、背中(腰)の痛みが起こることがあります。特に後腹膜リンパ節転移やまれな脊椎骨転移で生じ、持続的で鈍い痛みとして現れやすいです。 [1] [3] [4]
- 若年男性で原因不明の持続する腰痛がある場合、精巣の自己触診を行い、しこり・腫れ・重さの変化があれば早めに泌尿器科を受診しましょう。 [1] [3]
- 診断には陰嚢超音波・腫瘍マーカー・CTが用いられ、病勢や転移の評価に役立ちます。 [7] [8] [10]
この説明を読んで、該当しそうな症状(しこり、長引く腰痛など)はありますか?
関連する質問
出典
- 1.^abcdefghijklTesticular cancer - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
- 2.^↑Types of Testicular Cancer(nyulangone.org)
- 3.^abcdefghiBack pain--a presentation of metastatic testicular germ cell tumours.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 4.^abcdefBone disease in testicular and extragonadal germ cell tumours.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 5.^abcdTesticular Cancer(medlineplus.gov)
- 6.^abTesticular cancer: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
- 7.^abTesticular cancer - Diagnosis and treatment(mayoclinic.org)
- 8.^abcTesticular cancer - Diagnosis and treatment(mayoclinic.org)
- 9.^↑국가암정보센터(cancer.go.kr)
- 10.^abTesticular cancer - Diagnosis and treatment(mayoclinic.org)
- 11.^↑Cáncer testicular: MedlinePlus enciclopedia médica(medlineplus.gov)
- 12.^↑Red flags to screen for malignancy in patients with low-back pain.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


