
米国NIHの資料に基づく | アトルバスタチンの副作用として抑うつ(うつ病)が起こることはありますか、その発現頻度やリスク因子、注意すべき兆候と症状が出た際の対処法を教えてください。
アトルバスタチンで抑うつが起こる可能性は、添付文書上「まれ」ですが市販後に報告があります。発現時期は開始直後から数年後まで幅があり、多くは中止で可逆的(通常は数週間で改善)です。既往の気分障害、高用量・併用薬、開始・増量期は注意し、気分・睡眠・行動の変化があれば自己中止せず主治医に相談し、重症時は救急受診を検討します。
アトルバスタチンで「抑うつ」が起こる可能性は、添付文書上「まれに報告あり」とされています。公式の安全性情報では、精神神経系の有害事象の一つとして“抑うつ(depression)”が記載されており、発現しても多くは中止で可逆的と報告されています。 [1] 症状の出現は開始後1日から数年と幅があり、通常は中止後中央値3週間で改善すると記載されています。 [1] 複数の製剤情報でも“depression(抑うつ)”が報告されています。 [2] [3] [4] [5]
発現頻度の位置づけ
- 「臨床試験で2%以上かつプラセボより高頻度」に該当する一般的な副作用一覧には抑うつは含まれていません。 これは、頻度としては低い(まれ)ことを示唆します。 [6] [7]
- 一方で市販後(実臨床)の報告として“抑うつ”が挙げられており、頻度は明確ではないものの稀発例として注意喚起がなされています。 [2] [3] [4] [5]
リスク因子の考え方
アトルバスタチン固有の「抑うつ」リスク因子は明確には確立していませんが、一般に以下の要因で神経精神症状が出やすい可能性があります。
- 高用量・多剤併用(相互作用により薬剤曝露が上がる場合は全般的な副作用リスクが増える可能性があります)。 [8]
- もともとの気分障害や不眠の既往(症状の増悪を見逃さないためにモニタリングが推奨されます)。一般的な精神症状モニタリングの原則として、行動変化・不安・不眠・易怒性などの出現を家族も含め観察することが推奨されます。 [9] [10]
- 開始・増量など用量変更の時期(多くの薬剤で精神症状はこの時期に現れやすいため、より注意が必要です)。 [10]
臨床研究では、スタチンと抑うつの関連は「相反する結果」が報告されており、神経精神系への影響は“まれで、感受性の高い一部の人で起こりうる”という整理が一般的です。 [11] [12]
注意すべきサイン(兆候・症状)
抑うつは「気分が落ち込む」以外にも身体・行動面の変化として表れることがあります。次のような変化が新規に出現・悪化したら注意してください。
- 気分の落ち込み、興味や喜びの喪失、意欲低下
- 不安、焦り、イライラ、怒りっぽさ、攻撃性の増加 [9]
- 睡眠の変化(不眠・早朝覚醒・悪夢)、食欲の低下または増加
- 集中力低下、判断力の低下、作業効率の低下
- 体のだるさ、倦怠感、頭痛、動悸、胸の重さなど身体症状
- 自責感、希死念慮などの危険サイン(この場合は緊急対応)
家族や周囲の方が“最近いつもと違う”と感じた場合も重要な手がかりです。 [9] [10]
症状が出たときの対処
- 自己判断で中止せず、できるだけ早く処方医に相談してください。 薬剤性が疑われる場合、医師の判断で一時中止、減量、他のスタチンや他系統薬への切り替えを検討します。多くの報告で、中止後は可逆的で、ふつうは数週間で改善します。 [1]
- 重い症状(希死念慮、強い行動化など)がある場合は、すみやかに救急受診を検討してください。 [9]
- 再開・切り替え時のモニタリング:開始後しばらくは、本人・家族ともに気分や睡眠、行動変化を毎日レベルで観察し、異変があればすぐ共有することが進められます。 [9] [10]
予防とモニタリング
- 開始前:過去の抑うつ・不安障害の有無、睡眠状態、現在の精神科治療歴を共有しましょう。相互作用がある薬の併用状況も確認します。 [8]
- 開始後〜用量変更時:最初の数週間は、気分・睡眠・活動性の変化を簡単なメモアプリや日誌で記録すると早期発見に役立ちます。家族にも“普段との違い”の観察をお願いすると効果的です。 [9] [10]
- 長期服用中:抑うつは「開始直後だけ」ではなく、「数年後」に出る報告もあるため、漫然とせず定期的にセルフチェックを続けてください。 [1]
参考:臨床試験でよく見られる副作用
下表は、プラセボ対照試験で「2%以上かつプラセボより多い」有害事象の例(抜粋)です。抑うつは含まれていませんが、不眠など睡眠関連は時に見られます。 [6] [7]
| 区分 | 主な症状(例) | 備考 |
|---|---|---|
| 筋・骨格 | 筋肉痛、筋痙攣、筋肉痛様症状 | 用量依存的に増加することあり [6] |
| 消化器 | 悪心、下痢、腹部不快感 | |
| 神経系/睡眠 | 不眠 | 「抑うつ」は“まれな市販後報告”として別掲 [2] |
| 全身 | 倦怠感、発熱など |
まとめ
- アトルバスタチンで抑うつが起こることは、添付文書上「まれだが報告あり」と整理されています。 [2] [3] [4] [5]
- 多くのケースで、薬を中止すると可逆的で、通常は数週間で改善が期待できます。 [1]
- 明確な頻度は示されていないものの、開始・増量後や既往のある方では注意深いモニタリングが勧められます。 [9] [10]
- 気分・睡眠・行動の変化に気づいたら、自己中止せず速やかに主治医へ相談し、必要に応じて一時中断や薬剤切り替えを検討します。 [1]
よくある質問
- Q. LDLコレステロールを強く下げること自体が抑うつを招きますか?
A. 「LDL低下そのものが抑うつを引き起こす」という明確な因果は確立していません。 一部で議論はありますが、現時点ではスタチンが広く抑うつを増やすと断定できる根拠は限られています。 [11]
💡ポイント:コレステロール管理のベネフィットは大きく、抑うつはあくまで「まれな可能性」という位置づけです。不安があるときは、症状のメモや家族の気づきを添えて、早めに主治医へ相談してみてください。 [1] [9] [10]
関連する質問
出典
- 1.^abcdefgAtorvastatin Calcium(dailymed.nlm.nih.gov)
- 2.^abcdATORVASTATIN(dailymed.nlm.nih.gov)
- 3.^abcATORVASTATIN CALCIUM tablet, film coated(dailymed.nlm.nih.gov)
- 4.^abcATORVASTATIN CALCIUM tablet, film coated(dailymed.nlm.nih.gov)
- 5.^abcThese highlights do not include all the information needed to use ATORVASTATIN CALCIUM TABLETS safely and effectively. See full prescribing information for ATORVASTATIN CALCIUM TABLETSATORVASTATIN CALCIUM tablets, for oral useInitial U.S. Approval: 1996(dailymed.nlm.nih.gov)
- 6.^abcATORVASTATIN(dailymed.nlm.nih.gov)
- 7.^abATORVASTATIN CALCIUM- atorvastatin calcium, film coated tablet(dailymed.nlm.nih.gov)
- 8.^abStatin side effects: Weigh the benefits and risks(mayoclinic.org)
- 9.^abcdefgh(dailymed.nlm.nih.gov)
- 10.^abcdefg(dailymed.nlm.nih.gov)
- 11.^abNeuropsychiatric adverse events associated with statins: epidemiology, pathophysiology, prevention and management.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 12.^↑The relationship between statins and depression: a review of the literature.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


