
WHOの資料に基づく | ワルファリンを服用中は、卵(特に卵黄)のビタミンKで薬の効果が弱まるため卵は避けるべきだというのは本当ですか?
要点:
ワルファリン服用中に卵(特に卵黄)を完全に避ける必要は通常なく、重要なのはビタミンK摂取量を日々一定に保つことです。緑葉野菜や一部の植物油はビタミンKが多く、急な増減でINRに影響しやすいため、食事パターンを大きく変える前は医療者に相談しましょう。
ワルファリン服用中に卵(とくに卵黄)を完全に避ける必要は、一般的にはありません。重要なのは、ビタミンKを多く含む食品の「急な増減」を避け、日々の摂取量をできるだけ一定に保つことです。緑葉野菜などビタミンKが非常に多い食品を急にたくさん食べると、ワルファリンの効果が弱まりINRが下がる可能性がありますが、卵のビタミンK量は相対的に少なく、通常の食べ方であれば影響は小さいと考えられます。 そのため、卵は「禁止」ではなく、ふだんの食事パターンに合わせて安定して食べることが大切です。 [1] [2]
ワルファリンとビタミンKの基本
- ビタミンKは血液を固まりやすくする因子(凝固因子)を活性化するビタミンで、ワルファリンはその働きを抑えて血液を固まりにくくします。したがって、ビタミンKの摂取量が大きく増えると、ワルファリンの作用が相対的に弱まり、INR(血液が固まりにくい度合いの指標)が下がることがあります。 [3] [4]
- 医薬品の患者向け説明では、ビタミンKの多い食べ物を急に増やさず、日々の摂取を一定に保つことが推奨されています。とくに「大量の緑色の葉物野菜」は注意とされています。 [1] [5]
卵(卵黄)のビタミンKはどのくらい?
- 一般的な解説では、ビタミンKは濃い緑色の葉物野菜に多く、肉・魚・卵・穀類などには「比較的少なめ」に含まれるとされています。卵は「小さくはあるがゼロではない」ビタミンK源で、緑葉野菜や一部の植物油に比べれば含有量はかなり少ない部類です。 [6] [7]
- したがって、卵を通常量で安定して食べる限り、ワルファリン効果への影響は限定的である可能性が高いと考えられます。大幅に食べる量や頻度を変えることがなければ、INRへの影響は小さいことが多いです。 [2] [4]
なぜ「一定に食べる」ことが大事か
- 研究や臨床では、ビタミンKが非常に多い食品の摂取が急に増えると、INRが治療域から外れやすくなることが示されています。とくに葉物野菜を短期間に多量摂取した場合、INRが低下(過凝固側)しやすいという観察があります。 [8] [9]
- 一方で、ビタミンK摂取を安定化する(食事指導で一定化、必要に応じて低用量サプリで平準化)と、INRの安定性が向上する可能性も報告されています。これは「急な増減」を避けることの重要性を裏づけます。 [10] [11]
実践ポイント(卵を含む日常食でのコツ)
- 禁止より“安定”:卵は完全に避けるのではなく、ふだん食べている量・頻度を大きく変えないことが大切です。例えば、週に数回食べる習慣なら、その頻度を保つようにしましょう。 [2] [4]
- 緑葉野菜は「量の変動」に注意:ほうれん草、ケール、春菊、パセリ、青汁などはビタミンKが多いため、突然たくさん食べ始めたり、逆に急にやめたりしないことがポイントです。食べる場合は一定量を習慣化しましょう。 [3] [1]
- 植物油にも注意:大豆油、菜種油など一部の植物油はビタミンKが多いため、ドレッシングの量や油の種類を急に変えないようにしましょう。 [5] [12]
- 食生活を大きく変える前に相談:ダイエット、菜食への切り替え、青汁や健康食品の開始など、ビタミンK摂取量に影響する変化は、主治医や薬剤師へ事前に相談すると安全です。 [1] [2]
早見表:ビタミンKとワルファリンの考え方
| 項目 | 影響の考え方 | 実践ノート |
|---|---|---|
| 緑色の葉物野菜(ほうれん草、ケール等) | ビタミンKが非常に多く影響大 | 急な増減は避け、一定量で継続。 [3] [1] |
| 植物油(大豆油等) | ビタミンKが多い場合あり | ドレッシングや揚げ物の油の種類・量を安定。 [5] [12] |
| 卵(卵黄) | 含有はあるが比較的少なめ | 通常量で“安定して”摂取すればOK。 [6] [2] |
| 肉・魚・穀類 | 比較的少なめ | 通常のバランス食で可。 [6] |
| 全体の方針 | 摂取量の“安定”が最重要 | 大きな食事変更時は医療者に相談。 [4] [1] |
よくある疑問への回答
-
卵を毎日食べても大丈夫?
ふだんから毎日1個程度を継続しているなら、そのパターンを継続する分には問題ないことが多いです。急にゼロにしたり、逆に急に増やしたりしないことが大切です。 [4] [2] -
青汁やサプリはどうする?
青汁や一部のマルチビタミンはビタミンKを多く含むことがあります。始める・やめる前に主治医へ相談し、必要に応じてINRのチェック間隔を調整してもらいましょう。 [1] [2]
まとめ
- 卵(卵黄)をワルファリン中に一切避ける必要は、通常はありません。 卵のビタミンKは比較的少なく、日々の摂取量を一定に保てば影響は小さいと考えられます。 [6] [2]
- 最大の注意点は、ビタミンKが非常に多い食品(とくに緑葉野菜や一部の植物油)の“急な増減”を避けること、そして食生活に大きな変更を加える前に医療者へ相談することです。 [3] [1]
必要に応じて、食事のパターンとINR値の関係を主治医や薬剤師と共有し、食事は「バランス良く」「一定に」を合言葉にしていきましょう。 [4] [5]
関連する質問
出典
- 1.^abcdefghWARFARIN SODIUM(dailymed.nlm.nih.gov)
- 2.^abcdefghWarfarin: MedlinePlus Drug Information(medlineplus.gov)
- 3.^abcd(dailymed.nlm.nih.gov)
- 4.^abcdefWarfarin diet: What foods should I avoid?(mayoclinic.org)
- 5.^abcdDailyMed - WARFARIN SODIUM tablet(dailymed.nlm.nih.gov)
- 6.^abcdVitamin K: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
- 7.^↑Vitamins: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
- 8.^↑The effect of dietary vitamin K on warfarin-induced anticoagulation.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 9.^↑Improved oral anticoagulation after a dietary vitamin k-guided strategy: a randomized controlled trial.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 10.^↑Dietary vitamin K guidance: an effective strategy for stable control of oral anticoagulation?(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 11.^↑Vitamin K supplementation to decrease variability of International Normalized Ratio in patients on vitamin K antagonists: a literature review.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 12.^abWARFARIN SODIUM(dailymed.nlm.nih.gov)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


