Medical illustration for WHOの資料に基づく | パントプラゾールを服用すると、赤身肉に含まれるヘム鉄の吸収が悪くなるというのは本当ですか? - Persly Health Information
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2026年2月14日5分で読める

WHOの資料に基づく | パントプラゾールを服用すると、赤身肉に含まれるヘム鉄の吸収が悪くなるというのは本当ですか?

要点:

パントプラゾールなどのPPIは胃酸を抑えるため、非ヘム鉄(植物性や多くの鉄サプリ)の吸収を低下させやすい一方、ヘム鉄(赤身肉由来)への影響は比較的少ないと考えられます。とはいえ個人差があり、長期服用では鉄欠乏の一因となる可能性があるため、食事の工夫や内服タイミング調整、定期的な血液検査が推奨されます。

パントプラゾールなどのプロトンポンプ阻害薬(PPI)は、胃酸をしっかり抑える薬のため、鉄の吸収に影響する可能性があります。結論として、非ヘム鉄(植物性や多くの鉄サプリに含まれる形)の吸収は低下しやすい一方、ヘム鉄(赤身肉に多い鉄)は酸に左右されにくいため影響は比較的少ないと考えられますが、個人差があり長期服用では鉄欠乏の一因になりうる点には注意が必要です。 [1] [2]


ヘム鉄と非ヘム鉄の違い

  • ヘム鉄(赤身肉、レバー、魚介など): ポルフィリン環に包まれた形で、小腸で専用のトランスポーター(HCP1など)を介して吸収され、胃酸の影響を受けにくいのが特徴です。一般に吸収率が高いとされています。
  • 非ヘム鉄(豆類、葉物、穀類、強化食品、一般的な鉄サプリの多く): 三価鉄(Fe3+)を胃酸で二価鉄(Fe2+)へ還元してから吸収されやすくなるため、胃酸低下で吸収が下がりやすいです。 [1]

PPIは胃内pHを上げ、食物中の非ヘム鉄の還元・溶解を妨げやすく、非ヘム鉄の吸収低下につながります。この作用はヘム鉄には相対的に小さいと考えられています。 [1]


パントプラゾールと鉄吸収に関するエビデンス

  • PPI治療は非ヘム鉄の吸収を低下させることが報告されており、ヘモクロマトーシス(鉄過剰症)の管理に応用された例もあります。また、経口鉄剤への反応を遅らせる可能性も指摘されています。 [1]
  • 長期のPPI内服者では、ヘモグロビン・ヘマトクリットなど血液指数が有意に低下するという後ろ向きコホートのデータがあり、慢性的な酸抑制が鉄欠乏性貧血のリスクとなりうる示唆があります(オッズ比約5)。 [2]
  • 一方、短期間(4日間)のオメプラゾール投与では健常人で経口鉄吸収に有意差を示さなかった小規模試験もあります。短期では影響が目立たない可能性があります。 [3]
  • 公式な薬剤情報では、PPI全般が鉄塩など酸依存的に吸収される薬の吸収を低下させうる旨が記載されています。 [4] また、パントプラゾールの情報でも鉄サプリとの相互作用に注意が示されています。 [5] [6]

実臨床での見方(ヘム鉄はどうか)

  • 理論的には、ヘム鉄は酸度低下の影響を受けにくいため、赤身肉由来の鉄は相対的に吸収維持されやすいと考えられます。 [1]
  • ただし、PPIの長期服用で総体としての鉄状態が下がる人がいるため、ヘム鉄だけで十分に補えるとは限らないのが現実です(食事全体のバランス、摂取量、個別の腸機能、潜在的出血などが関与)。 [2]
  • さらにPPIはビタミンCの胃内濃度や活性型割合を下げることがあり、これは非ヘム鉄の還元吸収に不利に働きます(ビタミンCは非ヘム鉄吸収を助ける補因子)。 [1]

影響を最小化するコツ

  • 食事からの鉄確保
    • 赤身肉・魚介などヘム鉄が豊富な食品を適度に取り入れると、胃酸抑制下でも相対的に吸収が維持されやすいです。 [1]
    • 非ヘム鉄食品(豆類、ほうれん草、強化シリアルなど)は、ビタミンC源(柑橘、キウイ、ピーマンなど)と一緒に取ると吸収が上がります。 [7]
  • 併用タイミングの工夫
    • もし鉄サプリ(特に非ヘム鉄の鉄塩)を内服するなら、PPIの服用時間をずらす、あるいは空腹時ではなく食後にするなど、実生活で負担のない範囲で工夫してみる方法があります(ただし効果には個人差があります)。 [5]
  • サプリの選択
    • 医師の管理下で、ヘム鉄由来のサプリやクエン酸第一鉄など比較的吸収性が良い製剤への切り替えが検討されることがあります(一般論)。PPIを中止・減量できるかは主治医と相談が安全です。 [5]
  • 検査のフォロー
    • 長期にPPIを服用している場合、血算(ヘモグロビン)、フェリチン、鉄、TIBCなどで鉄欠乏の有無を定期的に確認すると安心です。低下が見られたら対応(食事、サプリ調整、投与経路の検討など)を行います。 [2]

よくある質問への要点

  • Q: パントプラゾールで「赤身肉のヘム鉄」も吸収不良になりますか?
    • A: 非ヘム鉄ほどではないと考えられますが、個人差があり、長期的には鉄不足が進む人もいます。食事の全体像と服用期間、基礎疾患、出血の有無などを踏まえて血液検査で確認するのがおすすめです。 [1] [2]
  • Q: PPIと鉄サプリの併用は避けるべき?
    • A: 完全回避が必要とは限りませんが、相互作用の可能性があるため主治医・薬剤師に相談し、タイミング調整や剤形変更などを検討するのが安全です。 [5] [4]

まとめ

  • パントプラゾールは胃酸を抑えるため、非ヘム鉄の吸収低下を起こしやすいことが知られています。 [1] [4]
  • ヘム鉄(赤身肉に多い)は酸依存性が低く、影響は相対的に小さいと考えられますが、長期PPIでは鉄欠乏のリスクが上がる可能性があるため、体調や検査値での確認が大切です。 [1] [2]
  • 食事の工夫、内服タイミング、サプリの種類調整などで影響を最小化する方法がありますので、症状(だるさ、息切れ、めまいなど)や検査値に応じて主治医と相談するのが安心です。 [5] [2]

参考ポイント(表)

項目ヘム鉄(赤身肉など)非ヘム鉄(植物・多くのサプリ)
胃酸依存性低いため影響は相対的に小さい [1]高く、PPIで吸収低下しやすい [1]
吸収改善策適量摂取を継続、バランスの良い食事 [1]ビタミンCと同時摂取、タイミング調整 [1] [7]
PPI長期の影響個人差ありだが総鉄状態低下の可能性に注意 [2]低下しやすく、経口鉄反応の遅れもありうる [1]

もし現在パントプラゾールを続けながら疲れやすさなど気になる症状があれば、まずは簡単な採血で鉄状態をチェックし、食事や内服方法の工夫について一緒に考えていきましょう。 [2] [1]

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出典

  1. 1.^abcdefghijklmnopEffect of proton pump inhibitors on vitamins and iron.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  2. 2.^abcdefghiAssociation between proton pump inhibitor use and anemia: a retrospective cohort study.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  3. 3.^Effects of omeprazole on iron absorption: preliminary study.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  4. 4.^abc(dailymed.nlm.nih.gov)
  5. 5.^abcdePantoprazole: MedlinePlus Drug Information(medlineplus.gov)
  6. 6.^Pantoprazol: MedlinePlus medicinas(medlineplus.gov)
  7. 7.^abIron in Your Diet(mskcc.org)

ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。