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2026年2月27日5分で読める

米国NIHの資料に基づく | オメプラゾールを魚類に投与する際、推奨用量や過量投与のリスクなど、用量に関する注意点はありますか?

要点:

魚類へのオメプラゾール投与には公的な推奨用量がなく、研究例を参考にする段階です。数mg/kgで胃酸抑制が示唆された報告はある一方、種差が大きく、過量では鎮静・痙攣など中枢神経症状のリスクがあります。低用量から開始し短期投与と継続的観察を徹底することが推奨されます。

魚類へのオメプラゾール投与は、種差が大きく公的な獣医用承認情報がほぼ存在しないため、一般的に「定まった推奨用量」はありません。研究用途で使われた例からは、おおまかな目安や安全性の注意点を推測できますが、臨床的な標準投与量としては確立していないことに留意が必要です。 特に過量投与では中枢神経症状などの毒性が動物実験で確認されているため、慎重な用量設定と観察が重要です。 [1] [2] [3] [4]


基本の考え方

  • 承認情報の欠如:オメプラゾールはヒト医薬品であり、魚類用の公式な製品ラベルや定められた投与量はありません。したがって投与は「適応外使用」に該当し、実験報告や生理学研究から安全域を推定するしかありません。 [1] [2]

  • 種差と生理の違い:魚類は種ごとに胃酸分泌の有無・程度、代謝(CYP450)の活性、環境水条件による影響が大きく異なります。同じ mg/kg を投与しても吸収・効果・安全域が大きく変わる可能性があります。 [5]


研究で用いられた投与例と示唆

  • サメ(ドチザメ)での前処置投与:48時間にわたり5 mg/kg を5回分(合計25 mg/kg)投与すると、胃酸分泌(H+,K+-ATPase)抑制が示され、胃酸化の遅延やアルカリタイドの抑制が観察されました。この用量設定で明らかな全身毒性は示されていませんが、目的は生理反応の抑制確認であり、長期安全性を示すものではありません。 [6]

  • ナイルティラピアでの胃酸抑制:オメプラゾールで胃酸分泌を有意に抑制すると、食後代謝増加(SDA)の持続と大きさが約34%減少、成長率も約21%低下しました。つまり長期的には消化・成長への影響が懸念され、慢性投与は慎重であるべきです。 [7]


過量投与・毒性に関する知見(他動物データの外挿)

魚類での厳密な毒性閾値は定義されていませんが、哺乳類・イヌ科・げっ歯類のデータでは以下が知られています。安全マージン設定の参考情報として捉えてください。

  • 急性致死量(単回経口投与):マウス 1350 mg/kg、ラット 1339 mg/kg、イヌ 1200 mg/kgで致死。これらの高用量では鎮静、眼瞼下垂、振戦、痙攣、体温・活動性低下、呼吸数低下などがみられます。 [1] [2] [3] [4] [8] [9]

  • 繁殖・発達毒性(げっ歯類):反復投与で高用量では周産期の生存率低下や体重増加抑制、神経行動発達遅延などが報告されています。いずれもヒト常用量の数十倍相当での所見ですが、魚類への外挿では安全域の過信は禁物です。 [10] [11] [12] [13]

  • 過量時の対応:透析で除去しにくく、治療は対症療法が基本とされています。多剤誤嚥の可能性評価とサポーティブケアが推奨されます。 [1] [2] [3] [4]


投与時の実務的な注意点

  • 初期用量の考え方:研究例では数 mg/kg レベルで胃酸抑制が示唆されましたが、種差が大きいため、実務では「低用量から開始し段階的に調整」するのが安全です。 [6] [7]

  • 投与経路と製剤:魚類では経口(餌混和、胃内投与)が現実的です。ヒト用遅放性カプセルはコーティングが水中や餌中で予期せず崩壊する可能性があり、実際の吸収が不安定になり得ます。 [14] [15]

    • 可能なら粉砕や溶媒を用いるよりも、安定した餌ベースの均質混和を心がけ、日間変動を減らしましょう(ただし製剤学的にはオフラベルであり、溶出性が変わる点に注意)。 [14] [15]
  • 観察項目:過量・有害事象の早期兆候として、活動性低下、失調、振戦・痙攣様運動、呼吸数変化、食欲低下、体重停滞などを確認します。長期では成長鈍化が起こりうるため定期的な体長・体重測定が有用です。 [1] [2] [7]

  • 治療期間:長期連用は消化・成長に不利な可能性があるため、可能なら最短期間での使用とし、反応を見て休薬や間欠投与を検討します。 [7]

  • 併用・水質の影響:CYP450活性は環境要因の影響を受け、他薬剤や水質汚染物質が代謝に干渉しうるため、併用薬や水環境の一貫性に留意します。 [5]


参考テーブル:他動物における過量投与情報(外挿参考)

項目データ含意
急性致死量(単回、経口)マウス 1350 mg/kg高用量で中枢・呼吸抑制、致死性あり。 [1] [2]
急性致死量(単回、経口)ラット 1339 mg/kg同上。 [1] [3]
急性致死量(単回、経口)イヌ 1200 mg/kg同上。 [4] [8]
周産期・成長影響(反復)ラットで体重増加・発達影響(数十倍相当量)長期高用量は発達・成長に不利。魚類でも長期連用は慎重に。 [10] [11] [12] [13]

リスクを下げるための実践ポイント

  • 目的を明確に:胃酸抑制が本当に必要か、代替(飼料調整、ストレス軽減、水質管理)で代用できないか検討します。 [7]

  • 最少有効量で:低用量からスタートし、効果指標(摂餌、排泄、pH関連所見)と副作用を見ながら漸増します。 [6] [7]

  • 短期・限定的に:長期連続投与は成長低下リスクを念頭に、期間を絞るか間欠的に投与します。 [7]

  • 記録と評価:投与量、体重、行動、餌摂取量、死亡・異常の有無を記録し、安全性シグナルが出たら中止を検討します。 [1] [2]


まとめ

  • 魚類でのオメプラゾールは承認用量が確立されておらず、研究レベルで数 mg/kg 程度で胃酸抑制が観察された報告はありますが、標準的な「推奨用量」として一般化はできません。 [6] [7]
  • 過量では鎮静・痙攣などの毒性が動物で報告され、致死量は哺乳類で1200〜1350 mg/kgの極めて高用量ですが、魚類への安全域の外挿は慎重を要します。投与は低用量から慎重に、短期間で、厳密な観察とともに行うことが安全です。 [1] [2] [3] [4]

参考リンク(一般向け情報)

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出典

  1. 1.^abcdefghiThese highlights do not include all the information needed to use OMEPRAZOLE delayed-release capsules, USP safely and effectively. See full prescribing information for OMEPRAZOLE delayed-release capsules, USP. OMEPRAZOLE Delayed-Release Capsules, USP, for oral use INITIAL U.S. APPROVAL: 1989(dailymed.nlm.nih.gov)
  2. 2.^abcdefghDailyMed - OMEPRAZOLE capsule, delayed release(dailymed.nlm.nih.gov)
  3. 3.^abcdeDailyMed - OMEPRAZOLE capsule, delayed release(dailymed.nlm.nih.gov)
  4. 4.^abcdeThese highlights do not include all the information needed to use omeprazole delayed-release capsules safely and effectively. See full prescribing information for omeprazole delayed-release capsules. OMEPRAZOLE Delayed-Release Capsules USP Initial U.S. Approval: 1989(dailymed.nlm.nih.gov)
  5. 5.^abEffects of pharmaceuticals present in aquatic environment on Phase I metabolism in fish.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  6. 6.^abcdUsing omeprazole to link the components of the post-prandial alkaline tide in the spiny dogfish, Squalus acanthias.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  7. 7.^abcdefghInhibition of gastric acid secretion with omeprazole affects fish specific dynamic action and growth rate: Implications for the development of phenotypic stomach loss.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  8. 8.^abOMEPRAZOLE AND SODIUM BICARBONATE capsule(dailymed.nlm.nih.gov)
  9. 9.^OMEPRAZOLE AND SODIUM BICARBONATE capsule(dailymed.nlm.nih.gov)
  10. 10.^abDailyMed - OMEPRAZOLE capsule, delayed release(dailymed.nlm.nih.gov)
  11. 11.^abDailyMed - OMEPRAZOLE capsule, delayed release(dailymed.nlm.nih.gov)
  12. 12.^abDailyMed - OMEPRAZOLE capsule, delayed release(dailymed.nlm.nih.gov)
  13. 13.^abDailyMed - OMEPRAZOLE capsule, delayed release(dailymed.nlm.nih.gov)
  14. 14.^abOMEPRAZOLE DELAYED-RELEASE CAPSULES. These highlights do not include all the information needed to use OMEPRAZOLE DELAYED-RELEASE CAPSULES safely and effectively. See full prescribing information for OMEPRAZOLE DELAYED-RELEASE CAPSULES. OMEPRAZOLE delayed-release capsules, for oral use Initial U.S. Approval: 1989(dailymed.nlm.nih.gov)
  15. 15.^abomeprazole delayed-release capsules. These highlights do not include all the information needed to use omeprazole delayed-release capsules safely and effectively. See full prescribing information for omeprazole delayed-release capsules. OMEPRAZOLE Delayed-Release Capsules USP Initial U.S. Approval: 1989(dailymed.nlm.nih.gov)

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