PubMedの資料に基づく | メトホルミン服用中に緑茶を摂取すると副作用のリスクが高まるというのは本当ですか?
通常の飲用量の緑茶でメトホルミンの副作用が明確に増えるというヒトデータは乏しく、多くの人では大きな問題になりにくいと考えられます。 一方、緑茶のEGCGがOCT1/2やMATE1/2-Kを阻害するため、濃縮エキスや大量摂取では薬物動態に影響し副作用リスクが高まる可能性があり、腎機能低下などのハイリスク者は注意が必要です。 併用する場合は服薬との時間をずらす(前後2時間)など工夫し、体調変化があれば医療機関に相談してください。
緑茶(特に濃縮エキスや高用量のカテキン製品)をメトホルミンと併用すると、理論的には薬物動態に影響して副作用リスクが高まる可能性が示唆されていますが、通常の飲用量の緑茶で明確に有害性が増えると断定できるヒトデータは限られています。 [1] 一方で、緑茶の主成分エピガロカテキンガレート(EGCG)はメトホルミンの体内動態に関わる輸送タンパク(OCT1/2、MATE1/2-K)を試験管レベルで阻害し、メトホルミンの細胞取り込みや排出を妨げる可能性があるため、理屈の上では血中濃度の変化や副作用に影響し得ます。 [2] そのため、緑茶を大量に摂る、あるいは高濃度エキスサプリを使用する場合は注意が勧められます。 [1]
メトホルミンの重要な副作用と前提
- 乳酸アシドーシス(まれだが重篤):メトホルミンは肝臓での乳酸取り込みを低下させ、乳酸値を上げる方向に働くため、腎機能低下や脱水、重感染などのリスク因子があると乳酸アシドーシスの危険が増します。 [3] 乳酸アシドーシスでは血中乳酸の上昇(>5 mmol/L)やアニオンギャップ性アシドーシスなどがみられ、迅速な入院治療が必要です。 [4]
- 消化器症状:下痢、吐き気、腹部不快などは比較的よくみられます。 [5]
緑茶・カテキンが考え得る影響の仕組み
- 薬物輸送体の阻害:緑茶およびEGCGは、メトホルミンの取り込み・排出に関与する有機カチオン輸送体(OCT1/2)とMATE1/2-Kを阻害することが示されています。 [2] これにより、理論的にはメトホルミンの組織分布や腎排泄が変わり、血中濃度が上がる(または局所で蓄積する)可能性があります。 [2]
- ヒトでの実際の影響:こうした輸送体・代謝酵素への作用は、通常の飲用量の緑茶ではヒトで一貫して大きな影響が確認されていないケースが多いです。 [1] ただし、緑茶抽出物のサプリなど高用量では影響が強まる可能性が指摘されています。 [1]
乳酸アシドーシスとの関係
- 直接の因果は確立されていない:緑茶(カテキンやカフェイン)がメトホルミンによる乳酸アシドーシスを直接増やすという明確な臨床証拠は乏しいです。 [1]
- 理論的な懸念:もし緑茶由来の輸送体阻害によりメトホルミン曝露が増えると、既存のリスク因子(腎機能低下、脱水、重感染など)がある人では乳酸アシドーシスの理論的リスクが上がる可能性はあります。 [2] メトホルミン自体が乳酸の肝取り込み低下をもたらすため、基礎リスクが高い状況では注意が必要です。 [3]
緑茶サプリと濃度の問題
- 濃縮エキスの注意:高濃度の緑茶抽出物は、肝障害の報告や薬物との相互作用の可能性が指摘されており、飲料の緑茶よりも影響が大きくなる恐れがあります。 [6] 通常の飲用量では平均的な影響は軽度〜限定的と考えられますが、予期しない薬物反応がある場合は緑茶製品の過量摂取がないか考慮する価値があります。 [7]
実用的な目安とアドバイス
- 通常の飲用量はおおむね許容範囲:日常的な適量(例:1〜3杯/日程度)の緑茶で、メトホルミンの副作用が明確に増えるとまでは言い切れないことが多いです。 [1]
- 避けたいケース:腎機能が弱い、脱水がある、重感染・心不全など乳酸アシドーシスのリスクが高い方は、緑茶濃縮サプリや大量摂取は控えるのが無難です。 [3] [6]
- タイミングの工夫:念のため、メトホルミン服用と緑茶(特に濃い煎出やエキス)の摂取を時間的に分ける(例:服用の前後2時間は避ける)方法もあります。これは輸送体阻害による吸収・排泄の干渉を減らすための現実的な工夫です。 [2]
- 体調変化の観察:新たに緑茶サプリを始めてから、下痢や吐き気の悪化、だるさ、筋肉痛、呼吸が速い・浅い、腹痛などが強くなった場合は、使用を中止して医療機関に相談してください(乳酸アシドーシスのサインに注意)。 [4] [3]
まとめ
- 結論として、通常の緑茶の適量摂取は、多くの人にとってメトホルミンの副作用リスクを顕著に高めるとは言い切れません。 [1]
- ただし、緑茶のカテキン(EGCG)がメトホルミン輸送体を阻害するエビデンスがあり、理論的には薬物動態に影響し得ます。 [2]
- 高濃度の緑茶抽出物サプリや大量摂取は、相互作用や肝障害などのリスクが相対的に高くなるため注意が必要です。 [6]
- 乳酸アシドーシスはまれですが重篤で、既存のリスク因子がある場合は緑茶製品の摂取量にも慎重さが望まれます。 [3]
比較のための要点表
| 項目 | 通常の緑茶(飲料) | 緑茶濃縮エキス(サプリ) |
|---|---|---|
| メトホルミンとの相互作用の可能性 | 理論的にはあり得るが、ヒトでの影響は限定的なことが多い | 輸送体阻害などの影響が強まる可能性があり注意が必要 |
| 乳酸アシドーシスへの影響 | 明確な増加の証拠は乏しい | 理論的リスクは相対的に高まる可能性 |
| その他の安全性 | 一般的に安全だが過量は避ける | 肝障害の報告などあり、過量は避ける |
| 推奨 | 適量なら多くの人で許容 | 併用は慎重に、医療者に相談を推奨 |
参考:緑茶カテキンの薬物代謝・輸送体への作用はヒトでの通常摂取量では限定的だが、サプリの大用量では影響が強まる可能性。 [1] 緑茶/EGCGはOCT1/2、MATE1/2-Kなどメトホルミン関連輸送体を阻害。 [2] メトホルミンの乳酸アシドーシスはまれだが重篤で、既存リスクが重要。 [4] [3]
ご自身は緑茶をどれくらいの量(杯数や、サプリの有無)で摂っているか教えていただけますか?
関連する質問
出典
- 1.^abcdefghThe effects of green tea polyphenols on drug metabolism.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 2.^abcdefgInhibitory Effects of Green Tea and (-)-Epigallocatechin Gallate on Transport by OATP1B1, OATP1B3, OCT1, OCT2, MATE1, MATE2-K and P-Glycoprotein.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 3.^abcdefMETFORMIN HCL tablet, film coated(dailymed.nlm.nih.gov)
- 4.^abcmetformin(dailymed.nlm.nih.gov)
- 5.^↑METFORMIN HCL tablet, film coated(dailymed.nlm.nih.gov)
- 6.^abcAdverse effects of concentrated green tea extracts.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 7.^↑Overview of green tea interaction with cardiovascular drugs.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。