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2026年2月25日5分で読める

米国NIHの資料に基づく | メトホルミンを服用後に断食しても安全ですか?低血糖や乳酸アシドーシスのリスク、避けるべき絶食時間はありますか?

要点:

メトホルミン単剤では、十分な水分を摂りつつ12〜16時間程度の短時間断食なら低血糖リスクは低く、一般に安全に実施できます。24時間以上の長時間断食や脱水、腎機能低下、急性疾患、周術期の絶食では乳酸アシドーシスのリスクが高まるため、断食を避けるかメトホルミンの一時中止が推奨されます。インスリンやSU薬など併用時は低血糖対策が必要です。

メトホルミン内服中の断食は安全か?低血糖・乳酸アシドーシス・推奨される断食時間の目安

結論として、メトホルミン単剤であれば短時間の断食(例:一時的な食事抜きや12〜16時間程度のインターミッテント・ファスティング)は、一般的に低血糖のリスクは低く、安全に行える場合が多いです。 [1] ただし、長時間の厳格な断食や水分制限を伴う断食、急性疾患・脱水・腎機能低下などのリスク因子がある場合は、乳酸アシドーシスの懸念が高まり、メトホルミンの一時中止が推奨されます。 [2] [3]


メトホルミンと低血糖の関係

  • メトホルミンはインスリン分泌を直接増やさない薬で、通常の使用下では単剤で低血糖を起こしにくい薬です。 [1]
  • ただし「著しいカロリー制限(極端な断食)」や、他の低血糖を起こしやすい薬(例:スルホニル尿素薬、グリニド系、インスリン)と併用している場合は、低血糖が起こる可能性があります。 [4]
  • 目安として、16時間前後までの断食で、水分を十分に摂り、メトホルミン単剤であれば、低血糖リスクは一般に低めと考えられます。 [1] [4]

👉 ポイント: 低血糖の主なサイン(ふるえ、冷や汗、動悸、ぼーっとする)に気づいたらブドウ糖や砂糖飲料で早めに補正するのが安全です。 [4]


乳酸アシドーシスのリスクと「中止が望ましい場面」

  • 乳酸アシドーシスは非常にまれですが、腎機能低下、低酸素状態(心不全、敗血症、重い感染、脱水、ショックなど)、大量飲酒、重い肝機能障害などがあるとリスクが上がります。 [3] [5]
  • 食事・水分摂取が制限される状況では、メトホルミンは「一時中止」が推奨されます(手術前の絶食などに該当)。 [2] [6]
  • 腎機能が不良(eGFR低下)のときはメトホルミンの体内蓄積により乳酸アシドーシスのリスクが上がるため、開始前・継続中にeGFRの確認が勧められます。 [7] [8]

👉 ポイント: 長時間の断食や脱水を伴う断食は避ける、またはメトホルミンを一時中止する選択肢があります(主治医と事前に計画を)。 [2] [3]


どのくらいの断食なら安全かの目安

  • 短時間断食(例:12〜16時間の時間制限食)で、水分はしっかり摂る、メトホルミン単剤、腎機能が良好、急性疾患なし、なら一般に実施可能と考えられます。 [1]
  • 24時間以上の長時間断食や、繰り返しの長時間断食、吐き気・下痢・発熱などで水分やカロリー摂取が落ちている時は、リスクが上がるため推奨されません。 [2] [3]
  • 手術前の絶食や検査での食事・水分制限時は、メトホルミンは一時中断が推奨され、経口摂取と腎機能が回復・確認できてから再開します。 [6] [9]

👉 目安まとめ

  • 12〜16時間程度の断食: 条件が整えば多くは許容範囲。 [1]
  • 24時間超の断食や水分制限: 原則避けるか、医師と相談しメトホルミンを一時中止。 [2] [3] [6]

安全に行うためのチェックリスト

  • 体調
    • 発熱、下痢、嘔吐、強い脱水がある時は断食を避けるか、メトホルミンを一時中止を検討。 [3]
  • 腎機能
    • eGFR確認を習慣化し、腎機能低下がある場合は断食の強度を下げる・中止。 [7]
  • 飲酒
    • 飲酒は乳酸アシドーシスリスクを高めます。断食×飲酒の組み合わせは避けましょう。 [9]
  • 周術期・検査
    • 絶食が必要な手術・処置の前後は、一時中止→経口再開と腎機能確認後に再開。 [6]
  • 自己モニタリング
    • 低血糖症状に注意し、必要なら血糖測定を活用。 [4]

よくあるケース別の対応

  • 軽い時間制限食(16:8)で減量したい
    • 水分を十分に摂り、メトホルミン単剤・腎機能良好なら、原則行いやすいです。 [1]
  • ラマダンなど宗教的断食
    • メトホルミンやチアゾリジンは低血糖リスクが比較的低く、用量や内服タイミングの微調整で断食が可能なことが多いです。 [10]
  • 一日断食(24時間以上)に挑戦したい
    • 脱水や栄養不足によりリスクが増すため、原則おすすめしません。必要なら医師と計画し、メトホルミン一時中止も検討します。 [2] [3]

乳酸アシドーシスはどれくらい起こるのか

  • 大規模なデータの統合解析では、メトホルミン使用群と非使用群で乳酸アシドーシスの発生率に差を認めず、非常に稀な副作用と考えられています。 [11] [12]
  • とはいえ、発生例の多くは「腎機能低下」「低酸素状態」「敗血症」「脱水」「大量飲酒」など明確な誘因が同時に存在する状況で起こっています。 [3]

👉 ポイント: 「稀だがゼロではない」ため、リスク場面(絶食・脱水・腎機能低下)では一時中止や医療者への連絡が安全策になります。 [2] [7]


危険サインと対応

  • 低血糖のサイン:ふるえ、冷汗、動悸、空腹感、ぼんやり、頭痛。感じたらブドウ糖や砂糖飲料で速やかに補正し、必要に応じて断食を中止します。 [4]
  • 乳酸アシドーシスを疑うサイン:深く速い呼吸、倦怠感、眠気・意識低下、筋肉痛、腹部不快、徐々に悪化する吐き気・嘔吐。こうした症状が出たら内服を中止し、速やかに受診してください。 [1]

実践のコツ

  • 断食日は水・電解質飲料を十分に摂る(脱水予防)。 [3]
  • 初回は短めの断食から開始し、体調をみながら調整する。 [1]
  • 併用薬(特にインスリン、スルホニル尿素、グリニド)使用時は、低血糖予防のためスケジュールや用量を必ず事前に主治医と相談。 [4]
  • 手術・造影検査・長時間絶食が予想される時は、メトホルミンを一時中止し、経口再開と腎機能確認後に再開。 [6] [9]

まとめ

  • メトホルミン単剤+短時間(12〜16時間)断食+十分な水分摂取+腎機能良好の条件が揃えば、多くの場合は安全に実施しやすいです。 [1]
  • 長時間断食や水分制限、急性疾患・脱水、腎機能低下、周術期では、乳酸アシドーシスのリスクが上がるため、断食は避けるかメトホルミンを一時中止する方が安全です。 [2] [3] [6] [7]
  • 低血糖はメトホルミン単剤では稀ですが、極端なカロリー制限や他薬併用では起こりうるため、症状に注意し、必要時は補食・中断・受診を検討してください。 [4]

断食の種類と対応早見表

断食の種類水分摂取併用薬腎機能推奨対応
12–16時間の時間制限食十分メトホルミン単剤良好多くは実施可、症状モニター。 [1]
24時間以上の断食あり/不足単剤でも良好でも原則非推奨、行うなら医師相談・一時中止検討。 [2] [3]
周術期の絶食制限あり問わず要確認メトホルミン一時中止、経口再開+腎機能確認後に再開。 [6] [9]
嘔吐・下痢などの急性疾患不足しがち問わず悪化しうる一時中止し受診を検討。 [3]
宗教的断食(ラマダン等)十分単剤良好用量・タイミング調整で対応可、低血糖リスクは低め。 [10]
他の血糖降下薬併用十分SU/グリニド/インスリン良好低血糖対策が必要、医師と事前調整。 [4]

必要であれば、あなたの現在の服用量、併用薬、腎機能(eGFR)、断食の方式(時間や回数)に合わせて、より具体的な安全プランをご提案します。

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出典

  1. 1.^abcdefghijMetformin Hydrochloride Tablets USP(dailymed.nlm.nih.gov)
  2. 2.^abcdefghimetformin(dailymed.nlm.nih.gov)
  3. 3.^abcdefghijklMETFORMIN ER 500 MG tablet METFORMIN ER 750 MG tablet(dailymed.nlm.nih.gov)
  4. 4.^abcdefghmetformin(dailymed.nlm.nih.gov)
  5. 5.^METFORMIN HYDROCHLORIDE tablet, extended release(dailymed.nlm.nih.gov)
  6. 6.^abcdefgmetformin(dailymed.nlm.nih.gov)
  7. 7.^abcdMETFORMIN HYDROCHLORIDE tablet, film coated, extended release(dailymed.nlm.nih.gov)
  8. 8.^METFORMIN HYDROCHLORIDE tablet, extended release(dailymed.nlm.nih.gov)
  9. 9.^abcdMetformin Hydrochloride Tablets, USP(dailymed.nlm.nih.gov)
  10. 10.^abOral anti-diabetics in Ramadan.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  11. 11.^Risk of fatal and nonfatal lactic acidosis with metformin use in type 2 diabetes mellitus.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  12. 12.^Risk of fatal and nonfatal lactic acidosis with metformin use in type 2 diabetes mellitus.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)

ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。