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2026年2月25日5分で読める

米国NIHの資料に基づく | メトホルミン服用中にジョギングや高強度の筋トレをしても安全ですか?低血糖や乳酸アシドーシスのリスク、運動前後の食事や水分補給の注意点はありますか?

要点:

メトホルミン服用中のジョギングや高強度筋トレは、適切に管理されていれば概ね安全で、単剤では低血糖は起こりにくいです。乳酸アシドーシスは稀ですが、脱水・急性疾患・腎機能低下などでは中止が必要。運動前後の炭水化物補給と十分な水分、併用薬時の血糖自己測定が推奨されます。

メトホルミン服用中の運動は安全か

メトホルミンを服用している方がジョギングや高強度の筋トレを行うことは、一般的には安全に行えることが多いです。メトホルミンは「血糖を下げ過ぎて低血糖を起こしにくい」薬で、単剤使用では通常低血糖を起こさないとされています。 [1] ただし、極端に食事量が少ない時や「激しい運動をしているのに十分な補食をしない場合」は低血糖が起こる可能性があります。 [1] また、強度の高い運動そのものが乳酸を増やす要因ですが、適切に処方・管理されているメトホルミンは乳酸アシドーシスのリスクが極めて低い薬です。 [2] それでも、脱水(汗を大量にかいたのに水分が不足)や急性の病気、腎機能低下などが重なると乳酸アシドーシスの発症リスクが高まるため、そのような状況ではメトホルミンを一時中止すべき場合があります。 [3] [4]


低血糖のリスクと対策

  • 単剤では低血糖は通常起こりにくい(インスリン分泌を直接促す薬ではないため)。 [1]

  • 以下の条件では低血糖が起こり得ます:

    • カロリー摂取が不足している。 [1]
    • 激しい運動を行い、炭水化物の補給が追いついていない。 [1]
    • インスリンやスルホニル尿素薬など「低血糖を起こしやすい薬」と併用している、またはアルコールを摂取している。 [1]
  • 実践ポイント:

    • 運動前に血糖が低めなら、少量の炭水化物(例:10–20g)を補給してから開始すると安全性が高まります。これは、運動時の筋での糖利用が増えるためです。 [5]
    • 60分以上の持久運動では、途中や終了直後にも炭水化物を補給すると、遅発性低血糖の予防につながります。 [6] [5]
    • インスリンや分泌促進薬を併用している場合は、運動前後の血糖自己測定と補食の組み合わせが有効です。 [5]

乳酸アシドーシスのリスクと対策

  • メトホルミン適正使用下では乳酸アシドーシスは非常に稀とされ、比較試験・コホートデータの統合でも増加は示されていません。 [2]
  • ただし、腎機能低下、肝障害、低酸素状態(心不全急性増悪、心筋梗塞、重感染、ショック等)、高度脱水などの急性病態ではリスクが上昇し、その際はメトホルミンを速やかに中止する必要があります。 [4] [7]
  • 大量発汗時の脱水は危険因子で、運動で大きく汗をかくのに十分な水分を取らない状況は避けることが推奨されます。 [3] [8]

運動前後の食事・水分補給の具体策

  • 運動前(30–60分前):

    • 軽食で炭水化物を10–30g程度(例:バナナ1本、オートミール小盛り、スポーツドリンク少量)を目安に。低血糖を起こしやすい薬を併用している場合は多めに調整。 [5]
    • メトホルミンは基本的に食事と一緒に服用すると胃腸症状が出にくいです。 [3]
  • 運動中:

    • 60分未満なら水分中心、60分以上の持久運動では糖質入り飲料を適宜補給しましょう。 [5]
    • 汗が多い日はこまめに給水(目安:20分ごとに一口以上)。脱水は避けてください。 [3] [8]
  • 運動後(30分以内):

    • 炭水化物+タンパク質の補給(例:おにぎり+ヨーグルト、カカオ入り低脂肪ミルクなど)で回復と低血糖予防。 [5]
    • 胃腸が弱い場合は食事と一緒にメトホルミンを継続すると副作用が少なく済むことがあります。 [3]

高強度トレーニング時の注意点

  • 高強度インターバル(HIIT)や重い筋トレは乳酸産生が増えるため、十分な水分補給と適切な栄養摂取が重要です。 [5]
  • 強度が高い日に食事を極端に減らすのは避ける(低血糖の発生要因)。 [1]
  • 運動中・直後の息切れや極端なだるさ、筋痛に加え、吐き気・腹痛・過度の眠気などが持続する場合は医療機関へ(乳酸アシドーシスは稀ですが救急対応が必要な病態)。 [9] [10]

併用薬・アルコール・急性イベント

  • インスリンやスルホニル尿素薬との併用時は低血糖対策を強化(自己測定・補食)。 [1]
  • アルコールはメトホルミンの乳酸産生への影響を増強し得るため、過量摂取は避けることが望ましいです。 [4]
  • 手術前、造影検査、重症感染、心筋梗塞などの急性イベントでは、メトホルミンを一時中止する医師の指示が一般的です。 [4] [7] [11]

まとめ(安全に運動するためのチェックリスト)

  • 単剤のメトホルミンは通常、低血糖を起こしにくいが、激しい運動で補食不足なら注意。 [1]
  • 乳酸アシドーシスは極めて稀だが、脱水・急性疾患・腎機能低下などでは中止が必要。 [2] [4]
  • 運動前後に適量の炭水化物と十分な水分補給を行う。 [5] [3]
  • 長時間・高強度の運動では途中補給を計画し、自己血糖測定を取り入れるとより安全。 [5]
  • 併用薬(インスリン・SU薬)やアルコール摂取がある場合はリスクが上がるため、対策を強化。 [1] [4]

よくある状況別の目安表

状況低血糖リスク乳酸アシドーシスリスク食事・水分の目安補足
メトホルミン単剤+中強度ジョギング(~60分)低い低い事前に炭水化物10–20g+水 200–400ml胃腸症状があれば食事と一緒に服用。 [3] [1]
メトホルミン単剤+高強度筋トレ(~60分)低~中(補食不足で上昇)低い(脱水で上昇)事前に炭水化物10–30g+水 300–500ml、終了後も補食汗が多い日はこまめに給水。 [3] [8] [5]
併用(インスリン/ SU薬)+持久運動(>60分)中~高低い途中で糖質入り飲料やジェルを補給、開始前後で血糖測定遅発性低血糖対策を。 [1] [5]
発熱・嘔吐・下痢や重感染、心肺イベント変動中(中止検討)医師の指示に従い運動休止・補水急性期はメトホルミン中止が必要な場合あり。 [4] [7]

最後に

メトホルミン服用中でも、適切な補食・水分補給・自己管理を行えば、ジョギングや高強度トレーニングを安全に続けられる可能性が高いです。 [1] [5] ただし、脱水や急性疾患、併用薬、アルコールなどの要因が重なる場合はリスクが変わるため、その都度調整や医療者への相談を取り入れてください。 [3] [4] [7]

運動の頻度や強度、現在の服用薬、腎機能の状態によって最適な対策が変わりますが、「補食」「給水」「自己血糖チェック」をセットにして習慣化すると安全性がぐっと高まります。 [5]

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出典

  1. 1.^abcdefghijklmMETFORMIN HYDROCHLORIDE- metformin hydrochloride tablet, film coated(dailymed.nlm.nih.gov)
  2. 2.^abcRisk of fatal and nonfatal lactic acidosis with metformin use in type 2 diabetes mellitus.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  3. 3.^abcdefghiMETFORMIN HYDROCHLORIDE tablet, extended release(dailymed.nlm.nih.gov)
  4. 4.^abcdefghmetformin(dailymed.nlm.nih.gov)
  5. 5.^abcdefghijklmSelf glucose monitoring and physical exercise in diabetes.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  6. 6.^Diabetes in sports.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  7. 7.^abcdMETFORMIN HYDROCHLORIDE- metformin hydrochloride tablet, film coated(dailymed.nlm.nih.gov)
  8. 8.^abcMETFORMIN HCL tablet, film coated(dailymed.nlm.nih.gov)
  9. 9.^METFORMIN HYDROCHLORIDE- metformin hydrochloride tablet, film coated METFORMIN HYDROCHLORIDE- metformin hydrochloride tablet, film coated(dailymed.nlm.nih.gov)
  10. 10.^METFORMIN HYDROCHLORIDE- metformin hydrochloride tablet, film coated METFORMIN HYDROCHLORIDE- metformin hydrochloride tablet, film coated(dailymed.nlm.nih.gov)
  11. 11.^DailyMed - METFORMIN HYDROCHLORIDE tablet(dailymed.nlm.nih.gov)

ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。