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2026年2月24日5分で読める

米国NIHの資料に基づく | メトホルミン服用中にアルコールを摂取すると乳酸アシドーシスや低血糖などの副作用リスクはどの程度高まりますか?安全に飲める量や避けるべき状況はありますか?

要点:

メトホルミン服用中の過度な飲酒は乳酸アシドーシスのリスクを高め、特に一気飲みや慢性的多量飲酒、肝・腎障害、低酸素、重症感染や脱水では危険性が上がります。メトホルミン単剤での低血糖は稀ですが、空腹時の大量飲酒やインスリン・SU薬併用でリスクが増します。腎肝機能が正常で食事とともに少量(節度ある飲酒)なら相対的に安全ですが、個人差が大きいため医療者への相談が推奨されます。

メトホルミン服用中のアルコール摂取は、過度になると乳酸アシドーシス(血中乳酸が上がって酸性に傾く危険な状態)のリスクを高めることが知られており、特に大量飲酒や慢性的な多量飲酒は避けることが推奨されています。公式の添付文書では「過度の飲酒は避ける」「短期間の大量飲酒(いわゆる一気・ binge)や慢性的な多量飲酒はしない」ことが明確に警告されています。 [1] [2] 同じく、肝機能障害がある場合は乳酸クリアランスが低下し、メトホルミン関連乳酸アシドーシスの報告があるため、肝障害のある方は原則避けることが推奨されます。 [3] [4]

リスクの全体像

  • 乳酸アシドーシスの背景リスクは極めて低いと考えられており、長期試験や観察研究をまとめた解析では、メトホルミン群・非メトホルミン群ともに10万患者年あたり推定上限で数例レベルという非常に稀な頻度でした。 [5] [6] ただし、これは適正使用下(腎機能・肝機能を確認し、脱水や重症感染などを避ける)のデータであり、アルコールの過量摂取や肝障害・腎障害・低酸素状態などがあるとリスクは上がると考えられます。 [4] [7]
  • アルコールは乳酸代謝に対するメトホルミンの作用を増強することが知られており、これが過度の飲酒を避けるべき根拠です。 [1] [8]
  • 低血糖については、メトホルミン単剤では通常は起こりにくい薬剤です。 [9] ただし、大量飲酒で食事摂取が少ない、嘔吐している、ほかの低血糖を起こしやすい薬(スルホニル尿素薬やインスリンなど)と併用している、といった状況では低血糖の可能性が高まります。 [10] さらに、メトホルミンの大量過量内服では低血糖が起きた症例報告もあり、食事不足や吸収低下など複合要因が関わると考えられます。 [11]

どのくらいで危ない?「安全に飲める量」の目安

  • 添付文書は「量の目安」を厳密にミリリットルやグラムで定義していませんが、「過度の飲酒は避ける」「短期の大量飲酒や慢性的な多量飲酒はしない」と明記しています。 [2] [12]
  • 実臨床では、腎機能・肝機能が正常で、食事とともに少量の飲酒(例:1日あたり日本酒1合・ビール中瓶1本・ワイングラス1杯程度までの「節度ある飲酒」)であれば、相対的に安全と考えられることが多いです。ただし個人差が大きく、体格、年齢、併用薬、基礎疾患で許容量は変わります。(この量的目安は一般的な節度ある飲酒の範囲の説明であり、添付文書の厳密な定義ではありません)
  • 「空腹での飲酒」「大量の一気飲み」「連日の多量飲酒」は避けるのが安全です。 [2] とくに飲み会やイベントでの一気飲みは乳酸アシドーシスの誘因になり得ます。 [1]

絶対に避けたい状況(ハイリスク)

以下の状況では、アルコールを控えるか、医療者と相談のうえ原則避けることが望ましいです。

  • 既存の肝障害(脂肪肝を含む機能障害が疑われる場合を含め要注意)や重度の腎機能低下。 [3] [4]
  • 低酸素状態(重い心不全、重篤な呼吸器疾患、急性冠症候群など)や重症感染症、脱水。 [7]
  • 80歳以上で腎機能評価が十分でない場合。 [13]
  • X線造影検査の前後(一時的に休薬が必要な場合があります)。 [14]
  • 慢性的な多量飲酒者、または短期間での大量飲酒を繰り返す人。 [13] [15]

併用薬との関係

  • メトホルミンの排泄を減らす薬(例:シメチジン、ラノラジン、ドォルテグラビル、バンデタニブなど)との併用は、体内にメトホルミンが蓄積しやすくなるため注意が必要です。 [1] [8]
  • スルホニル尿素薬やインスリンを併用している場合、飲酒は低血糖の可能性を高めうるため、量のコントロールや食事摂取、自己血糖測定の強化が勧められます。 [10] [9]

実践的な予防のコツ

  • 飲むなら少量・ゆっくり・食事と一緒にが基本です。空腹で飲まない、水分を十分に、嘔吐や下痢があれば飲まないようにしましょう。 [2] [12]
  • 体調不良(発熱、強いだるさ、呼吸が速い・深い、筋痛、腹痛、強い吐き気)がある時は飲酒を控え、メトホルミンも一時中断を医療者に相談してください。乳酸アシドーシスの初期症状(異常な眠気、筋け

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出典

  1. 1.^abcdMETFORMIN HYDROCHLORIDE ER- metformin hydrochloride tablet, extended release(dailymed.nlm.nih.gov)
  2. 2.^abcdMETFORMIN HYDROCHLORIDE tablet, extended release(dailymed.nlm.nih.gov)
  3. 3.^abMETFORMIN HYDROCHLORIDE tablet, extended release(dailymed.nlm.nih.gov)
  4. 4.^abcMetformin Hydrochloride Tablets, USP Metformin Hydrochloride Extended-release Tablets(dailymed.nlm.nih.gov)
  5. 5.^Risk of fatal and nonfatal lactic acidosis with metformin use in type 2 diabetes mellitus.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  6. 6.^Risk of fatal and nonfatal lactic acidosis with metformin use in type 2 diabetes mellitus.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  7. 7.^abMetformin in patients with chronic kidney disease: strengths and weaknesses.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  8. 8.^abMETFORMIN HYDROCHLORIDE tablet, extended release(dailymed.nlm.nih.gov)
  9. 9.^ab[Anti-diabetes agents and hypoglycemia].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  10. 10.^abBalancing risk and benefit with oral hypoglycemic drugs.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  11. 11.^Metformin overdose-induced hypoglycemia in the absence of other antidiabetic drugs.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  12. 12.^abDailyMed - METFORMIN HYDROCHLORIDE tablet(dailymed.nlm.nih.gov)
  13. 13.^abMETFORMIN HYDROCHLORIDE tablet, extended release(dailymed.nlm.nih.gov)
  14. 14.^metformin hydrochloride- metformin hydrochloride tablet(dailymed.nlm.nih.gov)
  15. 15.^METFORMIN HYDROCHLORIDE EXTENDED RELEASE- metformin hydrochloride tablet, extended release(dailymed.nlm.nih.gov)

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